政治史主体ですので、統治者そのものをほとんど知らないので、関心が薄まるのは仕方がありません。経済産業史は近代あたりで少し触れられていますが、社会史も少なく、ブラジル
が生んだ音楽や芸術の文化史には、ほとんど触れられていないというブラジル史でした。
とはいえ、世界史の教科書にはほとんど記載されていないブラジルの歴史をたどる面白さは感じています。未知なるものへの好奇心からですが。
当方は高校の世界史レベルの知識しか持ち合わせてないので、ブラジルの歴史もほとんど知らない状態で本書に接しました。知らないことだらけで、学び続けることの大切さを今回も感じました。
有名なポルトガルのエンリケ航海王子(21p)かにスタートします。大航海時代以降、いかにヨーロッパの国々が好き勝手をしてブラジルを思うままにした歴史が掲載されていました。
世界史でも習ったトルデシリャス条約により、ブラジルではずっとポルトガル語が話されているように、ポルトガルの植民地としてそのまま歴史を刻んだと思っていましたが、フランスやオランダが一部を支配していた歴史も知りました。「オランダ人が残したレアル(41p)」とあるように、今も使われているレアルはもともとオランダが残したわけです。
ヨーロッパ各国の飽くなき征服欲を垣間見た気がします。
帝政時代も共和制への移行期も知りませんので、王様がいたことも新鮮でした。ヴァルガス(132p)も知りませんでしたが、この統治者の独裁の姿にも驚いています。
ブラジルというと日本移民をまず思い出します。ほとんど紹介されていませんでした(115p)。コーヒー園の開拓などはまさしく日系移民の功績の一部でしょうから。
リオのカーニバル(54p)、栄光のブラジルサッカー(102p)、ブラジルのアート(186p)そして今や世界トップクラスの市場規模を誇っている話(200p)などは楽しませていただきました。
ジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビン、セルジオ・メンデスについては触れて欲しかったですね。ボサノヴァは世界を席巻したわけですから。
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