「『昭和80年』戦後の読み方」 語り手 中曽根康弘、西部邁、松井孝典、松本健一、
レボリュウションとは、再び巡ってくるということ。明治維新は王政復古である。革命は、天命が改まること。ざっと歴史を見て感じるのは、鎖国により徳川300年は、一揆など小規模な反抗はあったものの、明治維新以降の対外戦争は引き起こされなかった。王政復古が侵略戦争時代なら、敗戦後の主権在民は、再び巡って来た政治制度と言えるのだろうか。戦後、対外戦争が目下2023年までは引き起こされていない。世界各地で戦争が起きているが、その影響は受けてはいても何とか平和は維持されている。
黒船来航により、江戸幕府は阿部正弘を老中に抜擢した。その時、阿部の年は22歳だったと言う。明治維新は、阿部によってなされる訳ではないが、ベテランにはこの危機を乗り切る知恵はなかったと言うことなのでしょうか。どういう理由にしても、若者が老中になった。困難な時は、誰が行っても困難なのだが、22歳の指導者と言うのは、驚く。22歳では、国会議員にもなれない。変革の時代は、若い指導者が出る必要があるのでしょうか。阿部は結局、明治天皇の五箇条の御誓文の「広く会議を興し万機公論に決すべし」と言うことで、庶民までが発言したらしい。結果は、江戸幕府の滅亡を招いたが、これが新時代の対応策となった。よいか悪いかは分かりませんが、今の目から見れば、列強の植民地支配に憧れて、しかし、日本の出遅れは、植民地を持つ国々の妨害を受けて挫折していくように見える。
戦後、主権在民になって、政党は政権を執るためにスキャンダル合戦や賄賂合戦で政党政治不信を招き自ら民主主義の理想を腐らせていった。
日本人にはパブリックマインド、公の心、公心がないと言う。確かに、共に進もうと言うような心は種も蒔かれていない気がします。相互扶助などというスローガンは聞くが、なかなか空念仏で、とは言え災害時はそれが無ければやっていけない。
世界は、つい少しまではアメリカ体系、ソ連体系、第三勢力体系と三体系が三国志よろしく存在していたが、ソ連の崩壊で事態はまるで予想困難な混乱の時代に入った。ロシアは民族主義を唱え、民族のために武力を行使している。ウクライナもこれも民族主義なのでしょう。イスラエルもシオニストと言うホロコーストで柔順に死地に赴いた民族の屈辱と被害に悲憤慷慨して武力で戦い敵は、今までとは逆に滅ぼしてしまえ、と言う運動が起きてきてしまった。イスラエルとはそういう戦闘を求めて集まった人々の国らしい。
旧約聖書、創世記27、祝福をだまし取るヤコブ。イサクは、エサウに化けたヤコブを祝福して言った。「どうか、神が天の露と地の産み出す豊かなもの、穀物とぶどう酒をお前に与えて下さるように。多くの民がお前に仕え、多くの国民がお前にひれ伏す。お前を呪うものは呪われ、お前を祝福する者は、祝福されるように。」兄エサウが狩りから帰って来た。イサクはヤコブを祝福してしまったので、エサウには与えるものがないと言う。エサウは泣き叫び、「お父さん、この私も祝福してください、と言った。イサクは言った。「地の産み出す豊かな物から遠く離れた所、この後お前はそこに住む。天の露からも遠く隔てられて。お前は剣に頼って生きて行く。しかし、お前は弟に仕える。いつの日にか、お前は反抗を企てて、自分の首から頚木を振り落とす。」
昔、自民党は、アメリカ体系を支持し、社会党は、ソ連体系を支持した。そして、戦後、長いこと、自民党が政権を担当してきた。ソ連は今や崩壊して、無くなり、ロシアが、民族主義を掲げて、ロシア、ロシア、と叫び、かつてのピョウトル大帝よろしく、侵略戦争を繰り返している。チェチェン然り、南オセチア然り、ウクライナ然り、そして、ソ連から独立した各国が、再びロシアに統一されるべきだと言う、大ドイツ主義ならぬ、大ロシア主義が、叫ばれている。一方で、今一番のニュースは、ウクライナから外れて、パレスチナに移っている。
予言と預言があるという。二つは似ているが、予言は、未来のでき事を、今の現状を分析などして、人間が考えて判断する。一方、預言は神の言葉が人に下り、人が神から託された言葉を伝える。神が乗り移った人を神の人と呼ぶ。彼の言葉は、神の言葉らしい。預言者なのだ。 聖書は、預言の書と言われている。イサクを騙した弟のヤコブはユダヤ人の祖先。ルベン、シメオン、レビ、ユダ、ダン、ナフタリ、ガド、アシェル、イサカル、ゼブル、デイナ、ヨセフ、ユダヤの十二部族。騙されたお人好しは、アラブ人、らしい。
なぜか今や、聖書とは関係のない国までが、アメリカのユダヤ人企業のもとで、「多くの民がお前に仕え、多くの国民がお前にひれ伏す」時代が来ているように感じる。まるで聖書の言葉が実現してしまったような世界が出来ている。こうして、アメリカのグローバリズムが、世界各国の個性を破壊して、均質化していく。その反対に、ロシアの民族主義が、かつてのソ連圏の復活を目指して、順調ではないが、旧ソ連圏世界の独立国を侵略していくことになるかもしれない。旧ソ連は内紛状態で、かつての世界一や二を争った国とはかけ離れた国になってしまった。日本のように、アメリカに屈した国家の中にも、各国の個性を消されたとは言えどこかに、政治家の心のどこかに、反感と民族主義の種があって、それが萌芽しかかっているように推察できる。
「日本と言う共同幻想を再構築する。」そういう試みが日本人の中に起こらなくてはいけない。日本と言う個性は戦後全て神様=アメリカの言う通りになっているらしい。神は七人の天使に七つの鉢を与えて、地上に落として人類を根絶やしにするように命じた。ハルマゲドンは神の裁きであって、人類の核戦争ではないのか。核よりもっと怖いのか。コロナウィルス?よりも怖いのか。七つの鉢は。何を意味しているのか。もしかすると七つの星が降ってきて地球が消滅させられると言うことか。神の人が伝える預言の意味する所は分かりません。
もし聖書が、人が神の言葉を預かり、その神の言葉を記録したとするならば、人間のあらゆる営為は、どういう意味を持つのか。ここは東洋の智慧で、定まり固定した未来はなく、人間の営為により様々な可能性が生まれるのだ、と言う信念の方が救いがあるような気がします。
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「昭和80年」戦後の読み方 (文春新書) 新書 – 2005/8/19
国際社会との関係や新憲法など、新たな国家ビジョンを描くには近代史への検証が不可欠だ。現代の四賢人が多角的に徹底討議する!
- 本の長さ170ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2005/8/19
- ISBN-104166604589
- ISBN-13978-4166604586
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2005/8/19)
- 発売日 : 2005/8/19
- 言語 : 日本語
- 新書 : 170ページ
- ISBN-10 : 4166604589
- ISBN-13 : 978-4166604586
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,421,493位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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1946年静岡県に生まれる。1970年東京大学理学部地球物理学科卒業。現在、東京大学名誉教授、千葉工業大学惑星探査研究センター所長、理学博士。専門は比較惑星学、アストロバイオロジー。地球を1つのシステムとしてとらえ、環境・文明など広い視点から研究を進めている(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『親子で読もう 地球の歴史 (ISBN-10: 4000062476)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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2022年8月6日に日本でレビュー済み
★3.1/2022年92冊目/8月3冊目/『「昭和80年」戦後の読み方』(文春新書/文藝春秋)/中曽根 康弘,西部 邁,松井 孝典,松本 健一/P.169/2005年/660円+税 #読了 #読了2022
内容は「戦後日本の総決算」を個人の歴史観も含めて対談したもの。参加者は中曽根元・総理と評論家など計4名。対談形式だが、各人の話が長く、本当に対談か疑う。主な論点は敗戦論や今後の日本のいく末など。特に松井氏(東大大学院理学系研究科教授)は戦後から今に至る学校教育を再構築すべきだという。他との関係性の中で自己が生まれ、それを確立する上で、国家なる共同体をどのように構築すべきか訓練することが重要だという。他の人もそうだが、話がウーリーで、今後具体的にどうすべきなのか政策論がないので納得性に欠ける。
内容は「戦後日本の総決算」を個人の歴史観も含めて対談したもの。参加者は中曽根元・総理と評論家など計4名。対談形式だが、各人の話が長く、本当に対談か疑う。主な論点は敗戦論や今後の日本のいく末など。特に松井氏(東大大学院理学系研究科教授)は戦後から今に至る学校教育を再構築すべきだという。他との関係性の中で自己が生まれ、それを確立する上で、国家なる共同体をどのように構築すべきか訓練することが重要だという。他の人もそうだが、話がウーリーで、今後具体的にどうすべきなのか政策論がないので納得性に欠ける。
2008年4月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中曽根康弘元総理を囲んで論客西部邁と松本健一に理系大学教授の松井孝典を加えて、戦後の総括と今後の日本について討論した。西部は中曽根の存在を意識して普段よりソフトな物言いであるが論調はいつもの如くで、それに松本と松井が同調や反論をすることで肉付けし、中曽根がまとめ役といったところか。
話を広げすぎてしまったので内容的にはまとまりがなくなってしまったが、前提としては憲法改正というテーマが底流にあり、中曽根のグループがまとめた憲法草案の前文を西部が珍しく褒めている。4人をある程度知っていればその発言に新鮮味はないかもしれないが、中曽根は戦後政治の中枢に一貫していただけに物言いには重みが感じられる。
テーマは固いのだが、内容は易しく書かれていて読みやすい。
話を広げすぎてしまったので内容的にはまとまりがなくなってしまったが、前提としては憲法改正というテーマが底流にあり、中曽根のグループがまとめた憲法草案の前文を西部が珍しく褒めている。4人をある程度知っていればその発言に新鮮味はないかもしれないが、中曽根は戦後政治の中枢に一貫していただけに物言いには重みが感じられる。
テーマは固いのだが、内容は易しく書かれていて読みやすい。