好きだなあ、この本。
わたしが憧れていたアメリカはこの系統の上にあったんだな。
それにしても登場人物たちはよく喋る。
人間とは喋りまくるサルである。
と言われたら、はい、そうですね、と答えてしまいそう。
小説なのでもちろん、喋っているその言葉と喋っているその姿が「書いて」あるわけなんだけど、それが「聞こえる」ように目に入ってくる。
これは作者の語り口のうまさと訳者の日本語化の巧みさが相俟ってのことだろう。
途中まで、喋りは面白いんだけど一体何を伝えようとしてるんだ、これは、と思っていて、読み終えると、じわぁと来る、そんな作品がいくつかあった。
喋っているだけではないんだよね。
喋っている人間たちの心のさまを、喋り技法で描いているんだね。
その昔のアメリカ映画は、物語を作るシナリオライターと台詞を作るダイアローグライターがいて脚本が出来上がる、と聞いたことがある。
ラードナーさんはそのふたつの技能を併せ持った人なのかな。
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アリバイ・アイク: ラードナー傑作選 (新潮文庫) 文庫 – 2016/8/27
ヘミングウェイやフィッツジェラルドにも愛された、短編の名手にして名物コラムニストの傑作13編。息を吐くように言い訳する野球選手。スピード違反の女性に恋してしまった警察官。冷酷無情な行状を繰り返すボクサー。患者を放っておけないおしゃべり看護婦。夫の自慢が止まらない妻――。アメリカを虜にした饒舌すぎる語り口とユーモアが炸裂する! 《村上柴田翻訳堂》シリーズ。
- 本の長さ469ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2016/8/27
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104102164022
- ISBN-13978-4102164020
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 文庫版 (2016/8/27)
- 発売日 : 2016/8/27
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 469ページ
- ISBN-10 : 4102164022
- ISBN-13 : 978-4102164020
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 321,480位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年7月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年12月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ラードナーの短編集は既に二冊持っていて、
いずれにも『アリバイ・アイク』が収録されているのだが、
今回この短編集で再再読してまた笑った。
本作は、70年代に出版された
『微笑がいっぱい』『息がつまりそう』『ここではお静かに』
の三部作から厳選された傑作集。
言い訳ばかりする野球選手、スピード違反の魅力的な女性に恋する警察官、
冷酷無情なボクサー、患者をそっとしておけない饒舌な看護婦。
登場人物は皆そろいもそろっておしゃべり好きで
少なからず問題を抱えていて、それでいてチャーミングだ。
おおらかなユーモアと一つまみの皮肉をないまぜにして
ラードナーは、アメリカ文学お得意の『ほら話』を
庶民の語り口で飄々と綴ってみせる。
まさに粒ぞろいの十三篇といえよう。
加島祥造の愛情あふれる名訳集でもあり、
お買い得の短編集だ。
いずれにも『アリバイ・アイク』が収録されているのだが、
今回この短編集で再再読してまた笑った。
本作は、70年代に出版された
『微笑がいっぱい』『息がつまりそう』『ここではお静かに』
の三部作から厳選された傑作集。
言い訳ばかりする野球選手、スピード違反の魅力的な女性に恋する警察官、
冷酷無情なボクサー、患者をそっとしておけない饒舌な看護婦。
登場人物は皆そろいもそろっておしゃべり好きで
少なからず問題を抱えていて、それでいてチャーミングだ。
おおらかなユーモアと一つまみの皮肉をないまぜにして
ラードナーは、アメリカ文学お得意の『ほら話』を
庶民の語り口で飄々と綴ってみせる。
まさに粒ぞろいの十三篇といえよう。
加島祥造の愛情あふれる名訳集でもあり、
お買い得の短編集だ。
2023年1月13日に日本でレビュー済み
村上柴田翻訳堂シリーズによって復刊された1冊。ずっと前から、たぶん大学時代から書店の文庫本コーナーで目にしていた小説集で、今回の復刊を機会に読んでみようと思った。
すごく面白いというのでもないし、とくに好みの作家になったわけじゃないが、まあ、読んでおいてよかった。といっても、読んだのは13編のうち半分くらい。
ラードナーは1885〜1933の人。巻末で、村上春樹と柴田元彦さんが解説セッションというのをやっている。そのなかで、村上氏はこう語っている。「小説というのは耳で書くんですよ。目で書いちゃいけないんです。といって書いたあとに音読してチェックするということではなくて、黙読しながら耳で立ち上げていくんです。そしてどれだけヴォイスが立ち上がってくるかということを確認する。立ち上がってこないなと思ったら、立ち上がってくるまで書き直すんです。(中略)目で見た時に声が聞こえてこないと物語は書けない。」
すごく面白いというのでもないし、とくに好みの作家になったわけじゃないが、まあ、読んでおいてよかった。といっても、読んだのは13編のうち半分くらい。
ラードナーは1885〜1933の人。巻末で、村上春樹と柴田元彦さんが解説セッションというのをやっている。そのなかで、村上氏はこう語っている。「小説というのは耳で書くんですよ。目で書いちゃいけないんです。といって書いたあとに音読してチェックするということではなくて、黙読しながら耳で立ち上げていくんです。そしてどれだけヴォイスが立ち上がってくるかということを確認する。立ち上がってこないなと思ったら、立ち上がってくるまで書き直すんです。(中略)目で見た時に声が聞こえてこないと物語は書けない。」
2015年12月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読みたいのに、あまりの古さに図書館にも無くて困っていました。
ネットは便利ですね!
ネットは便利ですね!
2016年9月30日に日本でレビュー済み
表紙の写真では、陽気で野球大好きな荷物係の男が写っています。
そんなスポーツマンの楽しくも哀しい、汗が臭う話が満載の本でした。
著者ラードナーの少しトボけた、ユーモア傑作を選び出した本になってます。
まずは、最初の「アリバイ・アイク」という短篇小説には満ちています、
アメリカ的な陽気な笑いが。
しかし、二番目の「チャンピオン」という作品には、人間をガムのように
噛みすてる冷徹な諷刺性を感じます。
ラードナーの筆の運びは、新聞のスポーツ記者でたたき上げた技です。
卑劣冷酷なボクサーがチャンピオンの座を獲得するまでを、簡潔な
冷たいシーンの積み重ねで語る語り口は、ボクシング記事のようにパンチが効いている。
暖かい心情のユーモア作家の体内に流れる、冷たい血液。
野球もボクシングも、スポーツ大好きなアメリカ人自体も、単純で複雑です。
大口をたたいて冷徹なたたかいに挑み、負けたら情けない弁解と言い訳で、次のゲームにかける。
ラードナーの十三の短編小説を、おもしろくおかしく、やがて哀しくアレンジした傑作選です。
血を流し、腫れあがったボクサーの十三の横顔のように見える物語です。息切れしながら実況
記事を書くラードナーの姿が見えるような、熱狂と冷血の味わいがある文章です。
表紙の写真の男、つい去年まではヒーローだったのかもしれない。人生もスポーツも、これだから
やめられない。
そんなスポーツマンの楽しくも哀しい、汗が臭う話が満載の本でした。
著者ラードナーの少しトボけた、ユーモア傑作を選び出した本になってます。
まずは、最初の「アリバイ・アイク」という短篇小説には満ちています、
アメリカ的な陽気な笑いが。
しかし、二番目の「チャンピオン」という作品には、人間をガムのように
噛みすてる冷徹な諷刺性を感じます。
ラードナーの筆の運びは、新聞のスポーツ記者でたたき上げた技です。
卑劣冷酷なボクサーがチャンピオンの座を獲得するまでを、簡潔な
冷たいシーンの積み重ねで語る語り口は、ボクシング記事のようにパンチが効いている。
暖かい心情のユーモア作家の体内に流れる、冷たい血液。
野球もボクシングも、スポーツ大好きなアメリカ人自体も、単純で複雑です。
大口をたたいて冷徹なたたかいに挑み、負けたら情けない弁解と言い訳で、次のゲームにかける。
ラードナーの十三の短編小説を、おもしろくおかしく、やがて哀しくアレンジした傑作選です。
血を流し、腫れあがったボクサーの十三の横顔のように見える物語です。息切れしながら実況
記事を書くラードナーの姿が見えるような、熱狂と冷血の味わいがある文章です。
表紙の写真の男、つい去年まではヒーローだったのかもしれない。人生もスポーツも、これだから
やめられない。
2016年9月16日に日本でレビュー済み
腰巻にあるように「おしゃべりがとまらない!」饒舌小説。小気味いい短編が面白おかしい。野球ネタが全13篇中、表題作も含めて、4つある。この翻訳堂にもある「素晴らしいアメリカ野球」に、引き継がれることになりそうな(!)傑作。
とにかく、しゃべりだしたら止まらない連中が、めっちゃ&むっちゃ面白い。
全篇!って、いったけど最後の「短編小説の書き方」は、エッセイ。だけど、内容的には完全に即興劇。もうこれはいっちゃん面白い。その面白さを生かすのが、村上ー柴田も絶賛する加島祥造氏のこの名翻訳。実に、実に、素晴らしい。
とにかく、しゃべりだしたら止まらない連中が、めっちゃ&むっちゃ面白い。
全篇!って、いったけど最後の「短編小説の書き方」は、エッセイ。だけど、内容的には完全に即興劇。もうこれはいっちゃん面白い。その面白さを生かすのが、村上ー柴田も絶賛する加島祥造氏のこの名翻訳。実に、実に、素晴らしい。
2007年4月16日に日本でレビュー済み
スマートなユーモアが嬉しいリング・ラードナーの短編集です。ヘミングウェイやサリンジャーうんぬん抜きにして、ある意味それらの作家よりずっと楽しめます。40年ほど前にちくまから出された「世界ユーモア小説全集」で読んだのが最初ですが、その後もちくまや新潮の文庫、新潮の単行本「微笑がいっぱい」等、見かけるたびに買っては読んでいます。どれも、読むたびに何度でも笑えます。お勧めです。
2005年5月30日に日本でレビュー済み
彼の言い訳をする才能、それは彼の野球のそれより高度なものだ。
なにしろあらゆる動作が彼には言い訳の対象となるのだから。
アイクのような男が実際に周りにいたら相当に“いらつく”だろう。
事実、本書を読み進めるにつれてアイクがイラついてくる。
しかしそれは彼に引き込まれていることと同義ともいえる。
あまり細かなことをのべる必要はないだろう。
とにかくよくできた話だと思う。
なにしろあらゆる動作が彼には言い訳の対象となるのだから。
アイクのような男が実際に周りにいたら相当に“いらつく”だろう。
事実、本書を読み進めるにつれてアイクがイラついてくる。
しかしそれは彼に引き込まれていることと同義ともいえる。
あまり細かなことをのべる必要はないだろう。
とにかくよくできた話だと思う。