「日本永代蔵」も名のみ有名で実際はあまり読まれていない作品の代表格ではないかな。今回初めて現代語訳で読みました。現代語訳はこなれていて注も過不足なく全体として読みやすい出来上がりです。さて中身はというと、「世間胸算用」に比べるとやはり散漫とした印象を受けました。世間胸算用は年末という時間の切迫感の下での借金という不変のテーマが作品の全体像へ統一感を与えているのに対して、こちらはどうしても一種の教訓集という臭さが抜けません。人間のすることなんていつの時代も変わるkとはなく、結果としてそこから取り出される教訓はそれ自体としては「陳腐」なものですし、厄介なことに互いに矛盾するものです。そう、日本永代蔵は、しかめっ面で最初のページから「注」を参照しながら熟読するものではなく、時々思い起こしたようにところどころを気ままに開いて味わう作品なんだな。
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日本永代蔵: 現代語訳・西鶴 (小学館ライブラリー 23) 新書 – 1992/3/1
- 本の長さ280ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日1992/3/1
- ISBN-10409460023X
- ISBN-13978-4094600230
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
井原西鶴の描いた江戸時代庶民層の経済感覚は、実にはつらつとしていて、現代でも学ぶべきことが多い。没後300年、西鶴の評価があらためて上がる中、西鶴研究の第一人者が平易な現代語訳でおくる「日本永代蔵」。
登録情報
- 出版社 : 小学館 (1992/3/1)
- 発売日 : 1992/3/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 280ページ
- ISBN-10 : 409460023X
- ISBN-13 : 978-4094600230
- Amazon 売れ筋ランキング: - 949,795位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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上位レビュー、対象国: 日本
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- 2010年2月12日に日本でレビュー済みAmazonで購入この本は、元禄時代の作家、西鶴の原作を、現代訳に直した翻訳本である。この本は、世界最初の経済小説である。また、日本で最初の、億万長者になるための本格的教訓書である。富を築くことを目的とする町人のために、その目的をとげた人々の生き様を記録して、のちのちの人のために参考に供するための指南書である。
サブタイトルは、「大福新長者教」であるが、これは、寛永四年(1627)刊の町人訓「長者教」に対する「新長者教」を意味している。寛永の「長者教」は、34ページの所謂パンフレットで、三人の長者が童子の問いに答えて、長者になる心得を語っている本で、個人的な修養を、抽象的に説いているものです。
日本永代蔵は、6章30話で構成されている。そして、その2/3は、親のゆずりをうけず、自分ひとりの才覚を活用して長者になった話を肯定的に描いており、残りの1/3は、インモラルな手法で長者になった話を、否定的に描いている。そして、好色と贅沢により没落した二代目の話を描いている。
「現代語訳 日本永代蔵」は、現代訳になっているとは言え、正直、固有名詞など、少し読み難い感じを受ける部分もあります。しかし、各話4〜6ページの短編集なので、実際は簡単に読めます。そして、内容も、倹約、勤勉、正直など、真面目に生きることを説いた本であり、好色と贅沢を戒めている分りやすい内容である。商売の基本は300年以上過ぎた今でも全く変わらない、と改めて思った。
- 2008年7月19日に日本でレビュー済み経済の説話集である。どの時代であっても、抜け目なく商機をつかむものがいると思えば、奢りから転落する反面教師の事例もあって、現代に通じる面白さだ。この時代に社会の安定と拡大によって、需要と供給、相場取引、物流ルートの開拓など、経済活動がすでに全国的なシステムとして発展を遂げていたことが分かる。最終的には大資本の「銀(かね)が銀(かね)を生む」構図に行き着いてしまうのだが、今で言うベンチャーマインドを醸成し商売の基本を心得るには当時も今も好適な書物であったと感じられる。
関東の大店の商人は苦労を知らない長男に店を継がせるので商売の勢いを失うが、関西の商人は奉公人の中で一番出来が良い人間を娘の婿に取るという。そういう積み重ねられた経験に加え、本書のようなテキストがあれば店は安泰というものだ。商家の家訓代わりの読み物として重宝されてきたのではないかと思う。
指南書・極意書では「風姿花伝」「五輪書」「葉隠」などの古典がたくさんあるが、これらは芸能に携わるものの心得や武士の生き方を著すものであって、町人の生き様を記したものではない。士農工商という序列でありながら実際は隠然と権力を握るようになる商人のしたたかさ、生命力が本書には息づいている。松下幸之助「商売心得帖」などの「心得帖」シリーズの源流とでも言えるのではないだろうか。
- 2008年9月10日に日本でレビュー済み世の中に貨幣経済が行き渡り、「金が金を儲ける」という時代へと移り変わりはじめた元禄時代の人間模様を描いた傑作。読みやすい現代訳で、訳注や解説も丁寧に作られている。