よみやすさとかを超えたしみいる文、
ひろく古今東西をまなんでの発言、
とどのつまりは騒動を起こしてしまったのかそのごは隠された事実におおわれたのもしれない。
なにしろ当時の大阪をふくめひろく世間をおどろかせた吾人の張本人は、
じつは深く人間をみつめて考えた。
という記録に満ちている。
いかんせん現代はうわっつらのかたちばかり。
大塩がいまいきてはいないけれどももし見たならば、
どうゆう感慨をもつだろうか。
予測しえないものである。
なにしろ吾人の乱ののちおよそ３０年には明治維新とよばれるあたらしい世代にバトンタッチしたという。
いま、われわれにもっとも求められるのは、前世紀といえる武家社会からその崩壊にいたった一端をしり、
その発端がどうだったのか、また、なぜそう及んだのかという、ひとつの社会形態がほろびる過程をすこしはしって、
その発端にすくなくとも大塩という存在が関与していないとはいえない事実にしっかり眼をむけて、
今をみつめること。
そしてなお、その発端の人物はとても広く深い考えをもって世間をみていたということに、
私は本書よりくみとった。
特別すぐれた何かをうったえなくてはいなくても、
わかりやすくかいてもいなくても、
深い書物にはそれだけの値打ちがあるのだろう。
陰陽五行はもとより、隣の中国は明の書物から、はばひろい視点をもって当時をこえて凄絶な思いをしたためた書物が本書であろう。
現代になにをうったえるのか、一人一人が感じるものであり私が限定はできないけれど、重ねてよむことによりなにかは少し得られるとおもう。
当時、大塩の塾に通ったというおばあさんのおばあさんがいたというおかたとともに本書をしみじみ話したこともあり、
ここに本書のことの私なりの回心を記す。
2011.02.05
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