内容説明
通訳見習として日本のイギリス公使館に赴任したアーネスト・サトウは、生麦事件、薩英戦争など攘夷の嵐が吹きすさぶ現場に居合わせた。日本の元首は将軍ではなくミカドだと見抜き「英国策論」を公表。日本語に精通した彼は各地を歴訪し、日本の国情を探索する。上巻では、1885年ころのシャム赴任中に執筆した第22章までを扱う。日記と対校して実録と回想を峻別し、史料価値を高めた。
目次
江戸駐在の通訳見習に採用される(一八六一年)
横浜居留地のうらおもて(一八六二年)
日本の政治状況
条約―攘夷精神―外国人殺害
リチャードソン殺害(生麦事件)―日本語学習
公用の江戸訪問
賠償金要求―日本側の鎖港提議―賠償金支払(一八六三年)
鹿児島砲撃(薩英戦争)
下関砲撃事件―準備行動(一八六四年)
下関砲撃事件―海軍の行動
下関砲撃事件―長州との講和締結
バードとボールドウィンの殺害事件
ミカドの条約批准(一八六五年)
英国策論・横浜大火(一八六六年)
鹿児島と宇和島の訪問(一八六七年)
初めての大坂訪問
大君の外国公使引見
陸路で大坂から江戸へ
日本の役人との交流――新潟、佐渡金山、七尾を訪問
陸路で七尾から大坂へ
大坂と徳島
土佐と長崎
著者等紹介
楠家重敏[クスヤシゲトシ]
1952年東京都品川区生まれ。1980年日本大学大学院文学研究科日本史専攻(博士課程後期)修了。現在、杏林大学大学院客員教授、日本大学講師、成蹊大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hal
14
イギリス人通訳者による、幕末明治あたりの日記を元にした手記。日本語を全く知らないところから、公式文書の翻訳や国同士の重要な交渉の通訳もこなすまでになるのは凄い。日本国内を旅行し、幕末の重要な人物と交際しており、イギリス人から見た幕末を知ることができる。2021/05/10
スプリント
8
明治維新好きなら誰もが目にしたことがある名前。アーネスト・サトウ。 激動の幕末から維新にかけての日本の歴史の代弁者です。2021/06/05
papahaba
0
明治維新をイギリス外交官という立場で見た、記録。末期の江戸幕府幹部、明治政府の幹部との生々しい折衝の様子や、外交団内部でのやりとりもあり、よりリアルに幕末の様子の一端が見えた。2023/09/11