歴史文化ライブラリー
落書きに歴史をよむ

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  • サイズ B6判/ページ数 232p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784642057752
  • NDC分類 210.46
  • Cコード C0320

内容説明

今も各地の古寺に残る、参詣者や武士らの「落書き」。彼らはその文字にいかなる思いを込め、なぜそこに書き記したのか。山形県の若松寺観音堂などの「落書き」から、社会と向き合う人々の心のありようを、歴史的に考える。

目次

落書きは歴史資料になりうるか―プロローグ
落書きへのまなざし―歴史資料としての落書き(落書きを歴史資料として活用する;落書きを調査する―若松寺観音堂の落書き調査;「かたみかたみ」「あらあらこいしや」―落書きにみられる定型表現)
かたみとなれや筆のあと―落書きされた歌を追って(歌を書き付ける、ということ;「かたみの歌」の発見―落書きで広まった歌;ひとり歩きする「かたみの歌」―「かたみの歌」の展開;石に刻んだ「筆のあと」―「かたみの歌」の変容)
落書きにこめられた「祈り」と「巡礼」―落書きと信仰(仏堂に落書きされた「巻数」;落書きは海を渡る;落書きはなぜ書かれたか―巡礼と落書き)
人はなぜ落書きを書くのか―エピローグ

著者等紹介

三上喜孝[ミカミヨシタカ]
1969年、東京都に生まれる。1992年、東京大学文学部卒業。1998年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。山形県立米沢女子短期大学講師、山形大学人文学部准教授を経て、国立歴史民俗博物館准教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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壱萬弐仟縁

32
心性史:日常の思考様式や感覚を文献史料以外の図像、伝承、民間儀礼など駆使する歴史叙述法(7頁)。初めて知った。行基開山の天童市若松寺(38頁~)。法隆寺の浪花津の歌は難波曲(なにわぶり)民謡の一つ(71頁)。入唐八家の一人円仁が見た遣唐使の墨書(187頁~)。中世の仏堂に書かれた落書きには、巡礼者がみずからの名前を壁に記したものが多い(190頁)。室町時代には巡礼の民衆化(210頁~)。『醒睡笑』は17C前半に成立。巡礼者が寺に落書きするのは自然のこと(218頁)。 2015/03/18

12
悪戯書き、旅の到達の証としての落書、テンプレに乗っ取った由緒正しい落書き、アンコールワットに至るまで落書をまとめた本。…まあテンプレに乗っ取って書いてあろうがなかろうが、後からみれば文化財を汚す落書きは落書きだよなあと思わなくもない。法隆寺が出てきたので、かの有名な天井裏の男性器の落書きが来るかなとちょっとわくわくしましたが、歌の落書きのみでした。2014/07/25

本読みじいさん

11
書きおくも形見となれや筆の跡又逢う時のしるしなるらん(静女)書きおくも形見となれや筆のあと我れはいづくの土となるらむ2014/05/27

アメヲトコ

6
中世仏堂などに残る落書きにスポットを当てた研究。巡礼者の参詣記念、大工の記録などのほか、男色の恋を書き連ねたものまであったりして、仏堂がある種ハッテン場になっていたことなど色々と面白い。現在では無名な「かたみの歌」が全国各地になぜか普及し、落書きの決まり文句として記されるというのも不思議。2018/07/05

吃逆堂

3
読み進めていると、巻数板のあたり途中やや脱線の感もあるが、最後にはすっきりとまとまって面白かった。総じて興味深い内容だったと思う。ただ、現代の落書きにまでつなげるとなると、本書で扱われている事例は実名を掲げた、いわば落書きの“正”の面であって、匿名の便所の落書きのような“負”の落書きについてはどう論じられるのだろう、という点は気になった。冒頭でも触れられているけれど、ケチな上司の悪口や「二条河原落書」などもあるわけだし。2014/10/19

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