ちくま学芸文庫
明治富豪史

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 234p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480095824
  • NDC分類 361.83
  • Cコード C0136

出版社内容情報

維新そっちのけで海外投資に励み、贋札を発行してまで資本の蓄積に邁進する新興企業家・財閥創業者たちの姿を明らかにした明治裏面史。

内容説明

富国強兵、殖産興業といったことばで語られることの多い明治日本の「近代化」。しかし、国力の増強を図ることは、同時に貧富の格差を生み出すことでもあった。工業国日本の歯車として庶民がひたすら働き続ける中、新興企業家たちは「先見の明」によって甘い汁を吸い、富を蓄積していく。いわく贋札の発行と両替、政治家との癒着、金融・株式の支配、戦争特需…。三菱、三井、住友、安田、日産等々、実業界の歴史に燦然と輝く財閥・企業グループ創業期の実態に、『日本之下層社会』で搾取され、貧困にあえぐ人々の姿を描いた著者が迫る。社史には決して書かれることのない明治裏面史。

目次

第1 明治富豪史(戦争;贋造紙幣;新人物 ほか)
第2 富豪貴族(富豪界の頭目;家庭の海上王;金融界の覇者 ほか)
第3 海外の人(無人島探検;獅子湾頭の怪;海外貿易者 ほか)

著者等紹介

横山源之助[ヨコヤマゲンノスケ]
1871‐1915年。富山県生まれ。明治期に活躍した行動するジャーナリスト。片山潜らと労働組合運動を組織した。有磯逸郎・無膓・夢蝶・漂天痴童・樹下石上人といった筆名も持つ。二葉亭四迷や内田魯庵、幸田露伴らと知り合い、著述(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

22
1910年初出。有るわい、有るわい。今度の戦争で、儲けた者(やつ)は随分有るわい(012頁)。日露戦争なのだろう。戦争は福の神じゃ(013頁)との揶揄は辛辣。五代友厚は商人としては茶々無茶な男で服装はお構いなし(039頁)。西南戦争に岩崎の儲けた金高は大したもの(065頁)。人を殺して金儲けでいいのか? 富国強兵が下火になると、殖産興業が流行って来た(068頁)。興味を引いたのは、住友家の図書館(116頁)。どんなものかは書いていない。北海道及び朝鮮では、地価暴騰で巨富の者が多い。2015/08/31

T

5
朝ドラで五代友厚の人気が出てるらしく、図書館に明治コーナーが設けてあり、気になってこの本を借りた。 たしかに「富豪史」というより「富豪列伝」。第三篇の「海外の人」のところで移民会社のことが書いてあるが殖民とほとんどのところで書いてありながら、植民がすくないが使ってあり、この違いが気になった。 http://okwave.jp/qa/q4209007.html http://hyogen.info/word/41109272016/03/23

コカブ

4
「富豪史」というよりは「富豪列伝」といった方が似合っている。1章「明治富豪史」では、明治になっての社会変動にうまく乗って稼いだ人達(特に政商)が出てくる。2章「富豪貴族」では、井上馨・岩崎・安田善次郎・大名家・都市の地主辺りが出てくる。3章「海外の人」は海外で成功した人たちだが、他の章の富豪と比べると少し格が落ちる。海外編が見たかったので読んだのだが、南洋開拓をした人は何となくわかったが、外地で成功した人が各国ごとにいたのは驚いた。また、移民会社は労働斡旋だろうか?名古屋のタキヒヨーも出たのには驚いた。2015/08/06

newborn

3
昔の本とだけあって、現在では知ることの難しい人物たちの経歴、名前が俯瞰的に列挙されていて、辞典的な意味でその人物の存在と経歴を教えてくれる。本書には二つ物足りなさを感じる。一つは、言及されている時期の情勢に詳しい方でないとすんなり頭に情報が入っていかないという敷居の高さ。二つ目もその文章のあいまいさと古い言葉遣いにより、忍耐を強いられること。2014/02/22

ymazda1

2
現代の教科書に名を連ねてるような人も含めて、当時の上流階級の人たちを実名で小バカにしまくった感じの本。 上流階級の住所や家族構成や庶子云々といったところまで詳細にまとめた人事興信録のような本がフツーに出版されていた時代だから、こんな本もフツーにオッケーだったんかな? あと、別章の、からゆきさんの端緒のような人たちと商社の人たちとの接点みたいな話は興味深かった・・・戦前戦中の南方経営と民間企業について書かれた手頃な本って、ないんかな?

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/7636420
  • ご注意事項