出版社内容情報
柳宗悦の「もの」に関する叙述を集めたシリーズ第二巻。カラー口絵の他、日本民藝館所蔵の逸品の数々を新撮し、多数収録。
内容説明
柳が生涯を通して集め続けた美しいものたち。李朝の白磁、丹波の古陶、沖縄の染織品、民窯の生活雑器、絵馬をはじめとする民間の絵画、イギリスのスリップウェア、名もなき人たちの手紙…。あらゆるジャンル・時代、地域に及ぶその蒐集には、しかし、ある共通の美しさが宿っている。柳はその共通する美しさを「美の標準」と呼び、その美の来たる所以を、「阿弥陀仏」の「本願」に求めた。彼の思索に影響を与え続け、「民藝」という思想を形作った旧蔵の逸品をピックアップし、それに関する論考を収録。
目次
中世紀の藝術(ゴシックの藝術)
雑器の美
スリップ・ウェアの渡来
苗代川の黒物
李朝の壷
絵唐津の公案
狭間の公案
丹波の古壷に寄す
多々良の雑器
丹波布の美〔ほか〕
著者等紹介
柳宗悦[ヤナギムネヨシ]
1889‐1961年。学習院高等科在学中に雑誌「白樺」創刊に参加。主に美術の分野を担当した。東京帝国大学哲学科を卒業後は宗教哲学者として活躍。その後、「民藝」という新しい美の概念を打ちたてた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
23
質素な暮しから質素な物が生れてくる。知識に奢らない者が、素直なものを素直に作る(071頁)。 雑器の美しさ:本当の富がこのうちに潜む。貧の徳や貧の富が良窯の品にはある(117頁)。 美しい物:自在心が可視的に形や色や線をとったもの(332頁)。 無住心:執する場所を持たぬ心(334頁)。 真の民藝なら、本質的な美しさを持つわけだから、民藝的というような差別相が出ては、却って矛盾 に落ちよう。自由に解放されているからこそ美しいのである(363頁)。 2015/06/06
ロビン
20
第二巻は、西洋中世期のゴシック芸術論に始まり、スリップ・ウェアや李朝の壺、大津絵、琉球の墓、茶器など柳が美を感じた古今東西の「もの」についての論考が収められている。「抽象美について」「模様とは何か」「版画論」等の独特で幅のある論考も面白い。全編を通して、美醜を超え作為のない念仏の「他力」というちからを優れた民藝作品の美の由縁とする思想に貫かれており、民藝品の鑑賞や制作を信仰と結び付けている。柳は光悦を「日本で最も優れた茶器を作った」と評価しつつもやはり「他力」のちからが加わった作の方をより良しとしている。2019/09/28
Yuko
1
狭間の美、丹波の古壺、多々良の雑器、丹波布、津軽のこぎん、沖縄の芭蕉布、絣美、拓本、築嶋絵巻、版画、朝鮮画、大津絵、和紙、野口英世の母の手蹟など、著者の審美眼に適ったものがなぜ美しのかを語る。用途、材料、手法の不自由からくる美しさ、作為のなさ、無名の手による美しさが繰り返し説かれる。著者の厖大な全集22巻の閲読は困難とのことで企画された文庫本3冊のうちの一冊。それでも読破にかなり時間を要した。巻末に収められた染色家柚木沙弥郎さんと、美術史家土田真紀さんの対談「柳宗悦」での、模様や自由についての話も興味深い2017/06/22
緑虫
0
★★★☆ 美醜にとらわれない日常遣いの雑器であるからこそ不作為の美が宿る、等々。2019/05/25
おーちくん
0
模様について語られた章が特に印象的。2018/05/21