内容説明
見えてはいるけれどないもの。ないようであるもの。納得しがたいがそう考えざるをえない…。見慣れた直角三角形の斜辺の長さが問題だった!誰もその正確な長さをあらわす数を知らなかった。そしてさらに不可思議に、それを一辺とする正方形の面積は、またきれいな整数であらわせた。万物は数であるとした古代ギリシアのピュタゴラス教団にとって、この事実は深刻な教義の破綻だった。その深淵に彼らは慄いた。深淵はどのように克服されたのか。もっとも原初的な抽象的思考から始まったとされる数学が出会った、いくつもの「不思議」をていねいに切り開き、人間存在の「不思議」へまで至る。
目次
第1章 人間の条件は数学することである―「数」の発見(0の発明;「意味」を忘れたら計算がらくになった;カラスの「4」と人間の「4」)
第2章 時間は規則正しく流れているか―「法則」の発見(ガリレオは何と闘ったのか;自然の底に数理を見る)
第3章 「軽薄な言葉の遊び」―「論理」の発見(日常言語におけるウソとマコト;直観から演繹へ)
第4章 〓2(るーと2)が、なぜ不思議なのか―「真理」の発見(とんでもないことに気づいたギリシア人;そこには、永遠に未知な部分がある;「神はサイコロの目で物事を決めている」)
著者等紹介
足立恒雄[アダチノリオ]
1941年、京都府生まれ。早稲田大学理工学部数学科卒業。同大学教授。理学博士。専攻は代数的数論、数論史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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