出版社内容情報
角田 幸彦[ツノダ ユキヒコ]
著・文・その他
目次
1 キケローの生涯(若きキケロー;政務官職の道;執政官時代;キケローの追放と帰国;キリキアの総督として;市民戦争―カエサルとポンペイウスの激突;カエサルの独裁と暗殺そしてキケローの最後)
2 キケローの思想(国家哲学・法哲学;ギリシア哲学との対決;キケローの哲学的形成―懐疑主義と教説(定説)主義の狭間
歴史家としてのキケロー
弁論と哲学の統合を目指して
キケローとヨーロッパ精神史
日本におけるキケローの重要性)
著者等紹介
角田幸彦[カクタユキヒコ]
1941(昭和16)年、北海道小樽市に生まれる。東京教育大学(現筑波大学)文学部哲学科哲学専攻卒業。同大学院博士課程修了。1983~84年、ドイツ・テュービンゲン大学留学(哲学、西洋古典学)。1997年、マールブルク大学で研究(西洋古典学)。文学博士。現在、明治大学教授。専攻はギリシャ・ローマ哲学、政治哲学、歴史哲学、景観哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロビン
15
ローマ最大の弁論家にして政治家であったキケローの生涯と学問的業績、その西欧への広範な影響について、キケロー復権の熱い思いを込めて著述された一冊。観念的・形而上学的なギリシア哲学を様々な著作をもって実際的なローマの現実のなかに根付かせ、哲学と弁論を融合させ、ローマのために活かそうとしたキケローの無二の功績を著者は熱弁するが、ペトラルカが嘆いたようなキケローの欠点についてはカエサルなどと比して優柔不断な性格であり「弱虫なところがあった」としているくらいでほぼ書かれていないので少し考えて読む必要があると思う。2021/02/15
青柳
5
共和政ローマ末期の政治家・哲学者であるキケローについての解説書です。同時代の偉人であるカエサルの影に埋もれるキケローをヨーロッパ精神史の礎として捉え直すというのが本書のテーマです。結論から申し上げますと非常に面白かったです。このまま隠れた名著として埋もれさせるには惜しい一品です。キケローの人生、人物、思想、哲学を余すことなく解説しており、彼が後世に遺した影響までこと細かに分析しています。最後まで失速せずに読めたのは著者の角田先生がそれだけ熱意を持って本作を執筆されたからでしょう。かなりお勧めです。2023/12/27
bass
2
微妙。所々刺激的だが、全体としては何を述べてるのか、よく分からない。ただ著者のキケロへの傾倒ぶりだけはよく分かった。読む著作としては、正直面白くはない2017/03/09