内容説明
日本は今、とんでもない超・老人大国に突入しようとしている。長寿がお荷物にすらなるこの世の中で、かつての老人像とまったく違う“新老人”の思想が必要なのだ。それは未来に不安と絶望を抱きながらも、体力、気力、能力は衰えず、アナーキーな思想を持った新しいタイプの老人たちである。彼らに牽引され、日本人は老後の生き方の大転換を迫られている―。「若年層に頼らない」「相互扶助は同世代で」「単独死を悲劇としない」等、老人階級の自立と独立を説いた衝撃の思想。
目次
「高齢者層」ではない、「老人階級」である
新老人の時代がきた
新老人五つのタイプ
これからの人間力
元気で長生きの理想と現実
不易と流行のさじ加減
豊かさについて考える
理想の「逝き方」をめざして
著者等紹介
五木寛之[イツキヒロユキ]
1932年福岡県生まれ。生後まもなく朝鮮にわたり47年引き揚げ。52年早稲田大学露文科入学。57年中退後、PR誌編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、66年「さらばモスクワ愚連隊」で小説現代新人賞、67年「蒼ざめた馬を見よ」で直木賞、76年『青春の門 筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞を受賞。英文版『TARIKI』は2001年度「BOOK OF THE YEAR」(スピリチュアル部門)に選ばれた。02年に菊池寛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
49
長生きすることが喜ばれたり、ありがたがられたりする時代ははるか昔に終わってしまったのだろうか。五木さんは老化はマイナスだとおっしゃっている。生きている限りは体力維持に努力して、気持ちも若々しくと願うのは皆同じなのではないだろうか。2015/11/10
やっち@カープ女子
45
精神的にはわからないけど身体は確実に衰えているので読んでみた。言いたいことは、若い層に頼らず元気な新老人が老人層を支えて行こうと。なるほど。あと、医療が進んで寝たきりで生かされる問題、逝く事を恐れず、良い逝き方がしたいと思った。2014/06/30
金吾
20
老人率が増していくなか自立をどうしていくのかは、それぞれが考えなくてはならないと思います。お荷物にならないように今から準備していこうと思いました。2024/06/05
aloha0307
16
行きの通勤電車で、登山を前にした団塊よりも上の方々をよく見かける。 とても元気なのだ。ついつい、年金はフル受給(さらには高利息付) いっぽう元本割れどころか半分いけばまし...のわれらor youngerの世代は複雑な思いが正直してしまうだろう。 その考えを出発点に五木先生は”老人階級”問題として詳述している。 リタイアし、老いてなお世を去ることなく、数十年を生きねばならない...最後の五木先生の言葉が臓腑を抉る... よい往きかた、逝き方か...2014/10/13
舟江
14
日刊ゲンダイに書いたものを、まとめたものだそうだ。浄土に往生することは、めでたくも喜ばしいことと説いている親鸞ですら、この世の未練を断ちがたいと言っていたという。また、人を一日でも長く生かす。命をとことん大切にする。それが医学の義務であり、原理であった。現在もそうだ。しかし、それが経済と結びついているところから悲劇が生じる。いや、喜劇かもしれない。とも言っている。読み易い。お薦め本だ。2016/09/22