出版社内容情報
経営学・組織理論の成果と方法を積極的に取り込んだ分析枠組みを、PFIや地方債市場等へ適用し、行政組織とそれを取り巻く公私を問わぬ多様なアクターとの関係に迫る。公私の境界が希薄化し公共サービスの供給主体が多様化する中で、日本行政学が戦後60年先延ばしにしていた分野を切り拓く、行政学と経営学を架橋する意欲的労作。
はしがき
謝辞
序章 本書の問題意識と分析アプローチ
1 本書の問題意識:新たな組織的形態の必要性
2 ガバナンス・レジームにおける新たな組織的形態:「公共領域」
3 分析方法と本書の体系
4 本研究の意義
第Ⅰ部 総論
第1章 公共領域の意義
1 組織の意義
2 自治体組織の特質と組織の境界
3 公共領域の導出
第2章 組織間関係における主要パースペクティブ
1 組織間関係論の意義
2 分析レベル
3 組織間関係の主要なパースペクティブ
第Ⅱ部 構造
第3章 公共領域の分析パースペクティブ
1 公共領域の特質
2 組織間関係論と公共領域:援用理論
3 公共領域の分析視座:先行研究のサーベイと整理
第4章 公共領域の構造仮説
1 議論の集約
2 公共領域の解釈
第5章 川崎市債の公共領域の形成・深化と信頼の高度化
1 川崎市の概況:「市場」との協働へ
2 仮説の設定
3 川崎市債の公共領域の形成
4 川崎市債の公共領域の深化
5 川崎市債をめぐるネットワークと信頼
6 本章のまとめ
【参考】「金融機関と自治体との間のネットワークと信頼についてのアンケート」調査票
第6章 PFI をめぐる公共領域の形成と深化
1 本章の問題意識と仮説設定
2 墨田区体育館PFI における公共領域の組織過程
3 東京都がん・感染症医療センターPFI における公共領域の組織過程
4 本章のまとめ
第Ⅲ部マネジメント
第7章 公共領域のマネジメント
1 組織間関係におけるマネジメント論と公共領域
2 公共領域のコミュニケーション:電子政府によるマネジメント
3 ガバナンスと自治体マネジメントの改革
4 公共領域のマネジメントへの展開
5 本章のまとめ
第8章 政策過程と電子政府のコンテンツ構造――環境政策における実証的分析
1 本章の問題意識
2 先行研究・調査
3 公共領域としての電子自治体構築の要素:環境政策分野における仮説的設定
4 環境電子自治体の機能に関する実証的な検討
5 本章のまとめと考察
第9章 行政経営のBalanced Scorecard(BSC) ――公共領域のマネジメントへの展開を求めて
1 行政経営におけるBSC の活用:先行研究のサーベイ
2 事例分析I 行政におけるBSC の構造および運用状況の分析
3 事例分析II ガバナンスならびに行政経営システムの観点からの評価
4 本章における分析結果の整理と公共領域のマネジメントへの示唆
終章 公共領域の組織過程論――構造論とマネジメント論の統合へ
1 本書のまとめ
2 (狭義の)公共領域の組織過程論
3 補論 図の補足説明
参考文献
索引
内容説明
組織論から行政学と経営学の架橋を試みる意欲的労作。行政組織と様々なステークホルダーの協働が生み出す公共領域の形成・構造・マネジメントを、緻密な方法論と豊富な実証分析から解明。
目次
本書の問題意識と分析アプローチ
第1部 総論(公共領域の意義;組織間関係における主要パースペクティブ)
第2部 構造(公共領域の分析パースペクティブ;公共領域の構造仮説;川崎市債の公共領域の形成・深化と信頼の高度化;PFIをめぐる公共領域の形成と深化)
第3部 マネジメント(公共領域のマネジメント;政策過程と電子政府のコンテンツ構造―環境政策における実証的分析;行政経営のBalanced Scorecard(BSC)―公共領域マネジメントへの展開を求めて)
公共領域の組織過程論―構造論とマネジメント論の統合へ
著者等紹介
稲生信男[イノウノブオ]
1962年東京生まれ。1987年早稲田大学法学部卒業。日本政策投資銀行を経て、2002年東洋大学国際地域学部助教授。2008年早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、東洋大学国際地域学部教授、博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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