内容説明
由布院は盆地である。かつては山に囲まれた普通の田舎だった。名所旧跡もない。温泉の湧出量は全国第二位という豊富さだが、客は少なかった。現在、旅館も増え、みやげ物屋が立ち並び、国内温泉地のなかでトップクラスの人気を集めるようになった。年間の観光客は三百八十万人、宿泊客は九十五万人を数える。この奇跡的な成功の陰にはどのような努力があったのか。「由布院ブランド」を築き上げたまちづくりの物語。
目次
第1章 ふたりの「まちづくり達人」
第2章 由布院らしい「まちづくり」
第3章 「まちづくり」のあゆみ
第4章 由布院へ来た人たち
第5章 発展する由布院の悩み
第6章 由布岳の麓に生きる
著者等紹介
木谷文弘[キタニフミヒロ]
1947(昭和22)年、岡山県生まれ。愛媛大学卒業後、大分県庁に勤務。土木技師として道路建設や都市計画に携わった後、早期退職。現在「木谷ムラマチ計画研究室」を主宰
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感想・レビュー
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おいしゃん
29
由布院といえば、高いブランドイメージがついた温泉街だが、裏では手弁当で数々の取り組みがあったことに驚いた。ある時を境に、観光客が来すぎるという状況になった際の対処も実に難しいと実感。2021/08/13
須戸
12
中谷宇吉郎が雪の結晶を作った人ということは知っていたが、甥の中谷健太郎も(良い意味でも悪い意味でも)いろいろとすごい人であることを知った。2004年の書籍なので、現在は新型コロナウィルスの影響により変化が起きていると思う。まちづくりや観光業といったものは、様々な課題に直面するため大変だと感じた。2021/12/11
gotomegu
10
観光の先輩からのおすすめ。無名の温泉地から人気観光地へと育てたひとびとのストーリー。別府温泉に近く影の薄かった由布院。奥座敷的に文化人を呼び寄せる宿があり、そこを中心に、地域の特性を生かして目指すべき形をつくりあげた。周りの観光開発のブームには乗らず、田舎らしさを好ましい形で熟成させた。まずは暮らす人の生活。次に観光にきてくれるお客さんへのおもてなしの心。本多静六がここにも登場。すごい。観光客が増えることで、外資の流入や交通などのインフラ問題については、参考になる。2021/06/13
拓陽(いっぽまえへ)
4
10年程前に読んだ本だけど、先般、由布院に行ったので、再読したくなりました。行かずに読むのと、行って読むのとではやはり大違い。今回は臨場感たっぷりに読めました。露天風呂から見た湯煙があちらこちらに上がる街の風景が思い出され、懐かしい気持ちにも。由布院らしい自然豊かで静かにくつろげる場所づくりが改めて感じられました。(でも、実際、メインストリートは観光地化がすごかったので、最初にこの本を読んでイメージしてたのとはちょっと違ったんだけどね。)2016/03/26
hatagi59
3
人気温泉地なんでしょ、位の印象しかなかったが、小さい別府にならないために、町ぐるみで色々と手を打って来たのがよく分かる本だった。 健康保養温泉町+豊かな湯と自然を可能な限りそのまま活かす、というのは惹かれるな。 また、町の人間が誇れる町であるからこそ、観光客に対しても活きて来る、というのもいいね。 人が少ないオフシーズンにいってみたいな。2018/01/15