ポルトガル文学叢書
リカルド・レイスの死の年

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  • サイズ B6判/ページ数 472p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784882027706
  • NDC分類 969.3
  • Cコード C0097

出版社内容情報

いま、最も注目を集めているポルトガルを代表するノーベル賞作家サラマーゴが、詩人フェルナンド・ペソアの「異名」リカルド・レイスを主人公に、句点の少ない独特の文体で、暗い歴史の転換点――リスボンの1936年を描く問題の歴史心理小説!/「数あるサラマーゴの作品のうちでも特にこの小説に心惹かれたのは、リスボンへのサウダーデによるのかもしれません。小説や文献を読むときには地図を片手にという長年の習慣から、私にとっては、リスボンの町がふるさとのようになつかしいものになってしまっているようです。『リカルド・レイスの死の年』は、政治小説とも恋物語とも、いろいろな読み方が可能ですが、リスボンという町なしには成り立ち得なかったであろう小説と言えましょう。」(訳者あとがき) 

内容説明

詩人ペソアの異名者が彷徨するリスボン・1936年の日々…ノーベル賞作家が歴史の転換点を描くテクスト性を秘めた幻想小説。

著者等紹介

サラマーゴ,ジョゼ[サラマーゴ,ジョゼ][Saramago,Jos´e]
1922年生まれのポルトガル人作家。独学で知識や教養を身につけ、ジャーナリストになる。53歳のときに職業作家を目指し、1980年前後から2年に一作の割合で長編小説、戯曲を書きはじめ、1998年、ポルトガル語圏で初のノーベル文学賞を受賞する

岡村多希子[オカムラタキコ]
東京外国語大学名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

85
パムクが描くイスタンブルと同様に、いくつもの通りで方向感覚を失いながら読むサラマーゴの小説。それもポルトガルの国民的作家フェルナンド・ペソアと共に「ここで海が終わり、陸が始まる」リスボンを行く。主人公は、ペソアの訃報に接し、リオデジャネイロから16年ぶりに帰国する医師のリカルド・レイス。滞在先のホテルでメイドと関係をもち、一方でホテルの客で腕の麻痺した若いマルセンダに魅かれていく。そんなレイスに、滞在先のホテルや通りでペソアが時々現れては冷やかしを言い去って行く。→2021/12/06

かもめ通信

25
ポルトガルの港に船が着き、一人の男が16年ぶりに彼の地に降り立ったところから始まる物語。その男リカルド・レイスはペソアの訃報を受けてブラジルから帰国したのだ。こうして読者は、1936年のリスボンの街を、医師であり、詩人であり、保守的な王党主義者でもあるリカルド・レイスという名の独身男性~ペソアの異名であるはずのその男性と~共に、さしたるあてもなく歩きまわることになった。時にはペソア本人も伴って。2019/08/08

rinakko

11
舞台となるのはリスボン。すでに死者側に身を置くペソアと、カンポスからの電報でペソアの死を知り16年ぶりにブラジルから帰郷した医者であり一歳年長のリカルド・レイスが再会を果たす…のであるからして、興味深く読んだ。でもちょっと、終盤はしんどかったなぁ…(ぼそり)。厳しいポルトガル史上においても殊に重要な年を取り上げるにあたり、あえて運命論者のレイスに直面させようとしているところが皮肉で面白い。(“死の年”なのにぎりぎりまで少しも心休まらないですね…と思ったけれど、たぶん概ね誰もがそういうものなのだろう。)2015/05/07

Mark.jr

3
読み直し。 作風の全く違う多数の異名を使い分けたことで、ポルトガルしいては世界文学史に残る異能の詩人として知られるFernando Pesoa。本書はこれまたポルトガルを代表する小説家であるJose Saramagoがペソアを題材にした作品です。タイトルにあるリカルド・レイスとはペソアの異名の一つ。率直にいうと読み所は物語の筋よりも、レイスとペソアがそれぞれ別々の人として存在したりなどの幻惑的雰囲気に、ペソアの詩と呼応する文章でしょう。なんとなく、読むとリスボンに行ってみたくなる本です。2021/01/17

→0!P!

1
サラマーゴはプロットの天才だ。忘れられた詩人に捧げられた献花。2016/09/22

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