出版社内容情報
病気になったとき、私たちはどんな本を読むのだろうか? かたい本か、あるいは軽い本か? ウルフ女史はいったいどんな本を選ぶのだろうか? 誰であれ、病気にはなるのだから、これはとても重要な問題である。タイトル・エッセイはこの問題に、やや脱線気味ながら、一つの答えを与えてくれる。
彼女はかつて、小説を書くのはしんどい作業であるが、評論やエッセイを書くのはとても楽しい、と言ったことがある。
「ウルフのエッセイの魅力はと言えば、卓抜な着想、思いがけない切り口、気の向くままにペンを走らせているようなルースな構造、計算された脱線、適切な比喩、そして皮肉な口調でふと洩らされる本音など、多々挙げることができよう」(編訳者)。
幼いときから自由にどんな本でも読ませてくれた、気むずかしい父親・レズリー・スティーヴンの思い出。伝記ははたして芸術たりうるか――これは友人のリットン・ストレイチーの伝記文学を軽妙に論じた一篇である。他にも、書評や『源氏物語』について、フォースターや30年代の世代に関してなど、14篇のエッセイを収録。さらに、皮肉とユーモアに満ちた短篇を2作収める。
シリーズ《大人の本棚》
Virginia Woolf (ヴァージニア・ウルフ)
1882年、著名な文芸批評家レズリー・スティーヴンを父親として、ロンドンに生まれる。父親の教育と知的な環境(ブルームズベリ・グループ)の中で、早くから文芸への情熱をはぐくむ。1915年、最初の長編小説『船出』を出版し、ついで『夜と昼』『ジェイコブの部屋』を発表する。さらに、彼女の小説世界を十全に開花させた傑作『ダロウェイ夫人』『燈台へ』『波』が生まれる。ここで彼女は、プルースト、ジョイスらによって示された「意識の流れ」を、独自の立場から追求している。『幕間』をのこして、1941年神経衰弱のため自殺。また、重要なものとして他に、『自分だけの部屋』『女性にとっての職業』『三ギニー』などの数多くのエッセイ、内面の記録である「日記」がある。
川本静子(かわもと・しずこ)編訳
1956年津田塾大学英文科卒業。1958年東京大学大学院修士課程修了。1962-63年ハーヴァード大学大学院留学。現在 津田塾大学教授。著書『イギリス教養小説の系譜』(研究社、1973)、『G. エリオット』(冬樹社、1980)、『ジェイン・オースティンと娘たち』(研究社、1983)、『ヒロインの時代』『遥かなる道のり――イギリスの女たち1830~19l0』(共編著、国書刊行会、1989)、『ガヴァネス』(中公新書、1994)、『〈新しい女たち〉の世紀末』(みすず書房、1999)。訳書 V. ウルフ『波』(みすず書房、1976、1999)、『自分だけの部屋』(みすず書房、1988)、『壁のしみ――短篇集』(みすず書房、1999)、『オーランドー――ある伝記』(みすず書房、2000)、トマス・ハーディ『日陰者ジュード』(国書刊行会、1988)、E. ショウォールター『女性自身の文学』(共訳、1993)、E. M. フォースター『ロンゲスト・ジャー二ー』(1994)、『民主主義に万歳二唱』(共訳、1994)、『アビンジャー・ハーヴェスト』(共訳、1995)、『ある家族の伝記』(共訳、1998、以上みすず書房)。
内容説明
書評は役に立つのか?病気のときにはどんな本がいいか?伝記は芸術たりうるか?父の思い出から『源氏物語』へ、皮肉とユーモアに充ちたエッセイと短篇。
目次
伝記という芸術
わが父レズリー・スティーヴン
いかに読書すべきか?
書評について
『源氏物語』を読んで
病むことについて
なぜですか?
女性にとっての職業
E.M.フォースターの小説
『オローラ・リー』
エレン・テリー
斜塔
空襲下で平和に思いを寄せる
蛾の死
遺贈品
雑種犬ジプシー
感想・レビュー
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かんやん
miyu
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きゅー