自明性の喪失―分裂病の現象学

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  • サイズ A5判/ページ数 249,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622021926
  • NDC分類 493.76
  • Cコード C3047

出版社内容情報

アンネの症例を詳細に記録・考察し、現象学的解釈を展開、その人間学的根底をさぐる力作。著者は、ビンスワンガーの現存在分析を継承、さらに広い哲学的考察をすすめる。テレンバッハとともに現代ドイツの精神病理学を代表する一人。

目次

1 寡症状性分裂病の精神病理学的・臨床的位置づけ
2 「基礎障碍」への問い
3 現象学について
4 臨床的経験
5 病歴と面接記録
6 精神病理学的・疾病学的考察
7 自然な自明性の喪失に関する精神病理学的問題と人間学的問題
8 現象学的解釈
9 内省的疎外と非内省的疎外
10 総括

著者等紹介

ブランケンブルク,W.[ブランケンブルク,W.][Blankenburg,Wolfgang]
1928年ドイツのブレーメンに生まれる。フライブルク大学の文学部でハイデッガー、シラジ、フィンクらについて哲学を、R.ハイスについて心理学を学ぶ。のち医学部に転じ1955年に医師国家試験に合格、翌年「妄想型分裂病の一例についての現存在分析的研究」を学位論文として提出、学界の注目を浴びた。この論文は現存在分析の古典的業績の一つに数えられている。フライブルク大学、ハイデルベルク大学精神科、ブレーメン市立病院を経て、マールブルク大学名誉教授

木村敏[キムラビン]
1931年生まれ。1955年京都大学医学部卒業。京都大学名誉教授。河合文化教育研究所主任研究員。精神病理学専攻。1981年第3回シーボルト賞(ドイツ連邦共和国)、1985年第1回エグネール賞(スイス、エグネール財団)、2003年第15回和辻哲郎文化賞受賞

岡本進[オカモトススム]
1945年石川県小松市に生まれる。1970年京都大学医学部卒業。現在岡本病院院長

島弘嗣[シマヒロツグ]
1947年生まれ。1973年京都大学医学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

62
肉体的異常(一応、ここでは、脳内の異常に限定しておくが)があったからといって、ひたすら精神的に打ちのめされ、打ちひしがれ、圧倒され、精神的な闘争に疲労困憊し、困窮し、心が枯渇し、それこそ、草木の一本も生えない荒涼たる、寒々とした光景ばかりがあからさまとなるケースもある。

またの名

9
服を選ぶとき何と何を組み合わせるのがふさわしいとか自然な動作や対人関係など普通は誰でも身につけてる当たり前の自明な「ルール、基本、大前提」を持ち損なってきた、と語る症例から導き出される精神病理論。自明なので健常者が疑問を持たない日常の殻を、著者が依拠する現象学の徒ならエポケーとかいう高難易度技で破り到達しようと頑張る地点をすでに見過ぎて、苦痛な疑問に襲われてる絶望的状況下を生きる患者。自我や共同世界を可能にする条件としての超越論的作業を行えず、その欠落を補おうと必死になって彼女たちが疲弊すると本書は分析。2021/06/10

STEM読書会

1
読んだものの難解で結局大したものが得られなかった。(たぶん理解が足りなかった。)2020/01/16

ねるねんこ

1
幼少期の母親の、理解できなさ→アプリオリな親しさの喪失、世界に根を下ろしている感覚の喪失→~のため、という意味指示性の喪失→予期、時間構造の喪失→自明性、自立性、間主観的な弁証法構造の喪失→疎外感、自分のあり方への信頼感のなさ2017/09/13

枕流だった人

0
1979/1/10 2刷

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