PHP新書<br> アダム・スミスの誤算 - 幻想のグローバル資本主義上

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アダム・スミスの誤算 - 幻想のグローバル資本主義上

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  • サイズ 新書判/ページ数 237p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569605357
  • NDC分類 332.06
  • Cコード C0230

出版社内容情報

  「グローバリズムへの最初の警告者」は、なぜ「市場経済の父」に祭り上げられたのか? グローバル資本主義の矛盾と危機を抉る意欲作。  有名な「神の見えざる手」により、自由主義市場経済の父、グローバリズムの最初の理論家と称されるアダム・スミス。しかし、『国富論』ならびにそれに先立つ著作『道徳感情論』において、スミスが真に批判し、憂えていたのは、貨幣経済の飛躍的拡大により「確かな基礎」を失いつつあった、18世紀後半のイギリス経済の「新しい現実」であったと著者はいう。そこから浮かび上がるのは、グローバリズムへの最初の警告者であり、また、国家に支えられた経済の安定こそ大切と考えた、「エコノミック・ナショナリスト」の姿である。 本書の目次は以下の通り。●序章「誤解されたアダム・スミス」 ●第1章「市場における「自然」」 ●第2章「道徳の基盤」 ●第3章「富の変質」 ●第4章「徳の衰退」 ●第5章「経済と国家」 本書は、スミス、ケインズという両巨人の思想を独自の視点で問い直し、グローバリズムの本質的矛盾と危うさを抉り出す意欲作の上巻である。  

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

100
佐伯さんのこの本は2分冊になっていて、現在のグローバル化とアダム・スミス、ケインズの著作を通じて日本や世界のグローバル化というものがどのような方向を目指そうとしているのかを分析というか備忘録のような感じがしました。前書きで佐伯さんも言っておられるように、研究書でもないし、評論・解説書でもないと言っていますがまさにその通りで、この本ではアダム・スミスの国富論と道徳感情論をかなり引き合いに出してご自分の考えをメモッたような気がします。2016/01/20

日の光と暁の藍

5
経済学の父とも言われるアダム・スミス。市場は見えざる手に導かれて自然に均衡するため自由放任すればよい、というご都合主義的なスミス解釈に異議を唱える。アダム・スミスは国民経済を重視せよと唱えたのではないか、として貨幣、富、徳、自然という概念、虚栄、同胞意識などを論じる。論点が面白いだけに、スミスの議論を現在に当てはめた分析、それに対してどうすればよいのかが語られていないことが物足りなく感じる。しかし、専門化や分業によって人々が他者の立場に身をおく想像力を失い、道徳の基礎が失われるという主張は実に興味深い。2020/12/11

スーさん

4
「経済学の父、アダム・スミスは、重商主義を批判し、神の見えざる手に象徴されるように自由市場を礼賛した。」この教科書にも書いてある典型的なスミスに対する解釈は、実は非常に矮小化されたスミス像なのである。そのことをスミスの著作や思想、当時の時代状況、そしてスミスが批判した重商主義などから読み解いていく。その先に見えてくるのは、「国民経済主義者アダム・スミス」という意外な姿だったのだ。本書は実に興味深いスミス像を読者に提示している。『国富論』といった古典にはなかなか手を出しづらい人にもオススメの一冊だ。2012/06/18

かず

3
再読。初読の際は、当時の徳性無く只欲望のみが渦巻く新自由主義に嫌悪感を持っていた私は、本書の論旨に思わず得心したものだったが、6年ぶりに読み返し、その感動は遂に蘇らなかった。なぜなら、只の懐古主義にしか思えなかったからである。各国の経済交流が盛んになり、グローバル化の流れに抗することは出来ない。また、この大衆民主主義の時代に徳などといっても空しさが残るだけだ。もし一般意志というものがあるのなら、政治的にも経済的に統合することは可能なはずだ。流れに乗りつつも自分を見失わず、徳を求めて生きたいものだと感じた。2014/07/07

えちぜんや よーた

3
第2章道徳の基盤 第3章富の変質 第4章徳の衰退 第5章経済と国家 「道徳情操論」を読んでみたい。「神の見えざる手」

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