B&Tブックス
トコトンやさしい真空の本

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  • サイズ A5判/ページ数 156p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784526048463
  • NDC分類 534.93
  • Cコード C3034

出版社内容情報

はじめに
 魔法使いが、魔法の杖をクルクルッと回すと、シャリーンと音がして何をしたのかわからないのに周りの風景が変わり、魔法が実現されます。真空にもそういうところがあります。真空そのものは目には見えません。見えない真空をうまく使うと、使う前と断然違うことが実現するのです。真空は魔法ではありません。ちゃんとした科学技術です。
 ポット(ジャー)は、1911年「保温保冷24時間保証びん」という長い名前で輸入されたそうです。こんな物にお湯を入れておいて、どうして丸一日お湯がさめないのだろうと不思議だったのでしょう。誰いうとなく魔法びんの名がついたとのことです。
 1643年(今からおよそ360年前)、イタリアの科学者トリチェリは、水銀を用いて「ここが真空」と誰にも納得のいく実験をしてみせ、それまで想像でしかなかった「真空」を「実在の真空」として見せたのです。それ以来たくさんの研究が積み重ねられました。それらの中で、真空技術が進歩したのはもちろんですが、電子やX線が発見され、現代原子物理学も真空の研究から生まれたとさえいわれています。
 昔は、真空装置はガラス製、真空ポンプもガラス製で、研究用に用いられました。いまやガラス製はめずらしく、金属製がほとんどです。巨大なプラントが稼働し、工場では真空を利用して多数の製品を作り出し、先端技術を支えています。工場で使われている技術は、やがて家庭で使われるようになります。真空掃除機、真空ふとん収納袋などはそのはしりといえましょう。
 真空の分野に深く立ち入ってみると、高度な多数の技術が総合され、自動装置やプラントが稼働していることがわかります。利用されている分野もきわめて広く、日用品から先端技術までさかんに利用されています。とはいえ、真空の世界は、まだどちらかといえば特殊の分野で、用いられる言葉もわかりにくい。
 この本では、「とことんやさしい真空」を心がけ、多くの方に真空の分野がどんなものであるか、どんな利用価値があるか、わかっていただけるように努めたつもりです。この本を読まれた方が真空を利用され、なんらかの改善のお役に立てれば幸いと存じます。
2001年12月 著 者


第1章
真空は
どんなところで
役立っているか

1 真空はあなたに魔法の力を授ける

内容説明

本書では、“とことんやさしい真空”を心がけ、多くの方に真空の分野がどんなものであるか、どんな利用価値があるかを解説。

目次

第1章 真空はどんなところで役立っているか
第2章 真空はどうして作りどうして測るか
第3章 真空装置の製作
第4章 魔法のプラズマ
第5章 薄膜の世界
第6章 真空の活用

著者等紹介

麻蒔立男[アサマキタツオ]
昭和9年愛知県に生まれる。昭和32年静岡大学工学部電子工学科卒業。日本電気株式会社に入社。昭和42年日電バリアン(現、アネルバ)。株式会社設立と同時に出向。昭和49年工学博士。昭和51年~52年、日本真空協会理事、研究部会長。昭和61年日電アネルバ(株)取締役。平成2年東京理科大学教授。平成1年~9年、日本真空協会個人理事。昭和60年高速スパッタ装置の発明により東京都知事賞受賞(関東地方発明表彰)。平成13年第26回技術賞受賞(日本真空協会)。現在、東京理科大学嘱託教授、日本真空協会評議員
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