ちくま学芸文庫
グロテスクの系譜

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  • サイズ 文庫判/ページ数 295p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480088390
  • NDC分類 757.8
  • Cコード C0170

内容説明

“グロテスクなもの”は、ルネサンス美術が「純粋で清澄なる古代」を復興する陰で産み落とされた。滑稽図やアラベスク模様など空間を装飾する絵画では、「現実的空間の否定」と「雑種(ハイブリッド)な生き物の増殖」が中心原理となり、遠近法と物語(イストリア)で構築された世界秩序からの解放が可能となる。「疎外された奇形児」か「豊穣な民衆世界」かという両極からしか批評されてこなかった、この怪物的で遊戯的なものの系譜を、美術史の碩学が的確精緻に解剖する。収録図版多数。本邦初訳となる関係二論文を収録。

目次

1 グロテスクの系譜(「名づけえざる装飾」に関するエセー;「放縦で滑稽な絵画」;怪物たちと「滑稽図ドロルリィー」;夢か怪物か?;笑いのデーモン;アラベスクへの経路;他のさまざまな道)
2 仮面、仮面行列、装飾用の怪人面
3 現代美術における遊びと聖なるもの

著者等紹介

シャステル,アンドレ[シャステル,アンドレ][Chastel,Andr´e]
1920‐90年。パリ大学にて近代美術史教授、コレージュ・ド・フランスにてイタリアルネサンス文明教授。『ル・モンド』の美術欄担当、美術史誌『ルヴュー・ド・ラール』主幹も務める。広範な思想史的関心、独創的な視点、華麗な文体での研究は世界的に声価が高い

永沢峻[ナガサワタカシ]
1944年生れ。早稲田大学文学研究科博士課程修了。現在、和光大学表現学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

34
「グロテスク」という言葉に何を想像しますか?私の場合は「悍ましくとも惹き付けて止まないもの」という認識しかありませんでした。ところがどっこい、そのグロテスクのモチーフの起源は古代ローマの壁画の装飾から始まったのである。アラベスク、サーカスのような人体構成図、自然と人間の融合体、ユニコーンなどの妖獣、「メメント・モリ」を実感させるモチーフの多様、有り得ない構図などの放逸で天衣無縫なイメージの奔流が今日まで芸術に影響を及ぼしてきたことが伺えて興味深かったです。2013/04/24

OKKO (o▽n)v  終活中

3
表題『グロテスクの系譜』ほか「仮面・仮面行列・装飾用の怪人面」「現代美術における遊びと聖なるもの」収録 ◆『系譜』で使われるグロテスクに関する形容詞を全てノートに書き出した。楽じゃなかったが、自分の中での概念が一気に広がった。この方法、今後もどっかで使ってみよう♪♪ ◆この作業を経て訪れたフィレンツェで“グロテスク”が当然のように好まれていたことを体感。ちゃんと予習してってよかったわぁ! ◆マスケローニ理解のために「装飾用の怪人面」も読もうと思ったが、ちょっと疲れたので『系譜』のみでいったん読了とする。2013/09/16

nappyon

2
「不気味で、奇怪で、疎外されたもの」あるいは「祝祭的な民衆文化」として捉えられる傾向の強いグロテスクという言葉…そもそもはルネサンス期のローマで発見された、古代ローマの壁画から広まった装飾を指す言葉だった。気晴らしや快活さ、滑稽さなどを含みながら、捉えがたいままに発展してきたグロテスクの系譜、といった感じでしょうか…なかなか難しく、要再読再読。2012/09/25

らむだ

1
※グロテスクの系譜 現代美術における遊びと聖なるもの 仮面、仮面行列、装飾用の怪人面2011/12/24

更新停止中

1
まるで頭に入らなかった。負け。「現代美術における遊びと聖なるもの」が頭に入らないなりに興味深かったので付箋貼ったところ中心にちょっと読み直してみたい。2012/02/08

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