内容説明
本書は、滋賀県彦根市に生まれ、縁あって、戦前フランスに日仏学生会館を創設したバロン・薩摩の店、東京日本橋の綿布問屋・薩摩商店に勤めた一人の男、石島秀松の半生記である。父親と意見が合わず、徴兵検査、結婚生活を経て、つねに家に居つかない秀松が、ついに家も家族も捨て、職を求めて放浪するうちに、悟りとも諦めともつかぬ人生哲学を学ぶ。完全に過去を捨て、自由労働者として生きる秀松が見た釜ヶ崎をソフト面からとらえた。
目次
釜ヶ崎天国
薩摩にありて
ああ薩摩
徴兵よもやま
快汗に学ぶ
安治川時代
港湾から外地へ
ブーゲンビリア
ハウスレス野郎―再び釜ヶ崎へ
第一次釜ヶ崎騒動
陸の孤島―襤褄の街
ドヤボン