新潮文庫<br> この世 この生―西行・良寛・明恵・道元

新潮文庫
この世 この生―西行・良寛・明恵・道元

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  • サイズ 文庫判/ページ数 206p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101462110
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

花と月とへの憧憬、子供らとの無垢な戯れ、夢遊の至純、浄身の飽くなき実践。―大患を得て自らの死と対峙し続ける体験を持った一人の文学者が、敬愛する四人の先人の、隠者の系譜につらなる詩歌と思想とに深く分け入り、死生観を味読する。その時、未知の死と不可知の死後とが、今・ここにおける生と相結んで、現世浄土を求める地上一寸の声に結晶してゆく…。読売文学賞受賞。

目次

花月西行
遊戯良寛
顕夢明恵
透脱道元
地球浄土

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1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

獺祭魚の食客@鯨鯢

52
 京大医学部卒の医師であるより、仏教に根ざし生きることへの愛惜を詠んだ歌人として生きた。幾度も大病を患い「いま、ここ」を精一杯生きることを終生思い続けた。  夏目漱石が「修善寺の大患」で「世間との和解」を遂げたように、西行、良寛、明恵、道元ら仏教者と対話しながら、この世との折り合いこそ大切であると考えた。  明日死ぬかもしれないということとは、コロナウイルスで死ぬかもしれないということである。つまり死後のあの世(彼岸)での極楽浄土を夢見るより、今日の生を充足させることこそが真の幸せなのである。 2021/04/08

一穂青燈

3
20代の頃、「もっと大人になってから読もう」と取っておいた一冊。大人になった、かなぁ。圧倒的に教養が足りません。そして、うすうす気がついてはいたけれど、リフレインにものすごく弱いです。いつかまた、ワーズワースを読みたくなりました。2014/08/07

うろたんし

2
歌の話がもっとたくさんあるかと思っていたんだけど、上田三四二の主題はそんなところにはなかったみたい。冒頭にあるとおり、死について、延いては生について、一貫して書かれていた。そこから、生と死とを包含する、地球、宇宙に話が進むのは当然の帰結か。終盤に、著者の口から(手から?)唐木順三の名前が出てきたのには驚いた。中世の文学を少し前に注文したのが届いたところだったから。やはり、読んでいて、知的興味を擽られる文章は、ありがたい。2013/09/03

はるい

2
正法眼蔵は難解で、私などには道元禅師の言葉は一生理解できないと思うが、「存在は相互に切断されながらその時間の微小断片、すなわち刹那においてなおよく世界たりえている。仏法によって、仏性において、世界たりえているのである」という上田氏の文章で、すっと何かが腑に落ちた気がした。義母の最晩年を間近に見て、死とは何かを改めて考えるようになってから初めて、少しではあるけどヒントが見えた。令我念過去未来現在いく千万なりとも、今時なり、而今なり。2013/05/20

やいまゎ

1
医師にして歌人、4人の紹介のあとは、地球浄土と宇宙に話が広がる。こちらを読後に、それぞれの人物を読みすすめることになった。個人的に出発点になった思い出の一冊である。

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