内容説明
日本の高度成長が始まる1960年代末。大手映画会社の企画部長、香貫晨一朗は、三億円強奪事件を題材にした映画の製作を任される。社運を賭けた作品は果たして成功するか?仕事に情熱を傾けつつも、会社という組織に生きた男の夢と挫折。映画産業が衰退していく時代背景のなかで、業界に生きる人間たちの野心やざわめきを描き、戦後日本史の一側面を生き生きと捉えた、著者会心の大作。
著者等紹介
高井有一[タカイユウイチ]
1932(昭和7)年、東京生れ。本名田口哲郎。早大英文科卒。共同通信社文化部在職中の’64年、立原正秋らと共に同人誌「犀」の創刊に参加。’65年『北の河』で芥川賞受賞。端正な文体で叙情的な香気を保つ小説世界を展開し、’76年『夢の碑』で芸術選奨文部大臣賞、’84年『この国の空』で谷崎潤一郎賞、’90(平成2)年『夜の蟻』で読売文学賞、’92年『立原正秋』で毎日芸術賞、’99年『高らかな挽歌』で大仏次郎賞を受賞
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