講談社選書メチエ<br> 視線の物語・写真の哲学

講談社選書メチエ
視線の物語・写真の哲学

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  • サイズ B6判/ページ数 282p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062581066
  • NDC分類 740.1
  • Cコード C0371

内容説明

写真という「自然の鉛筆」。そこに、潜在する数多の未知の物語。「撮る」「撮られる」「見る」―三つの視線はけっして収斂しない。宙づりの視線たちが紡ぎだす多義的な物語とは?カメラ・アイに潜む「匿名の視線」とは?「写真行為の哲学」が、あらたな視線の倫理(エートス)を要請する。

目次

序章 あらたな視覚経験
第1章 写真という物語
第2章 アイデンティティーのゆらぎ―肖像写真
第3章 イメージ・デモクラシー
第4章 外貌の解釈学―顔写真
第5章 欲望のファンタジー―ポルノ写真
第6章 写真行為のエートス―報道写真

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

内島菫

19
従来の写真論や写真家の言葉を受けながらもそこにとどまらず、ときには本当にそうだろうかと自らのセンスに耳を澄ます著者の態度は、地味だが物事の見方を決定する基盤になっている。特に作品としてではなく写真を撮る・撮られる・見る行為や、写真自体の立ち位置について述べるとき、センスそのものよりもそれにどれだけ注意深く耳を傾けたかが鍵になると思われる。それほど写真というものは逆説的で、撮る・撮られる行為だけでなく、自分自身の見るという行為さえ、掴んだかと思うとするりとすり抜け別のものにすり替わるエートスを持っている。2016/08/19

9
これまでに書かれた写真にまつわる哲学的案思索を参照しつつ、そこに著者独自の考えを織り交ぜて一冊にまとめあげている教科書的な一冊。それぞれの章では肖像写真、顔写真、ポルノ写真、報道写真をテーマにして写真の特性が語られる。写真と前時代の表現手段とを分かつ特徴(「コードなきメッセージ」、「無意識に浸透された空間」)や、写真の生成にまつわるまなざしの構造の話等、基本的なことがしっかり書かれている。教科書的でありながらスリリングでとても面白い一冊。写真について語る際の基礎知識を手にいれるために最適な本です。 2020/04/14

はじめ

1
「ルネサンス初期に確立した遠近法は,見るものの目を中心にして、すべてのものを配置した。ここで見るものは、世界の不動の中心に立つものであり、描かれたイメージは、世界の無時間的なイメージである。……この不動の視点は、みずからは世界の外に立って、みずからの展望のもとに全体を秩序づけ統御する普遍的な精神、いわば超越論的な自我の視点である。……絵を見るものは、絵を通して外の世界に向き合うのではなく、絵の中に、自分が帰属するトータルな世界のくっきりとした相貌を確認する」(p.31)2021/10/10

ubon-ratchat

0
想像以上にさらりと読めてびっくりしました。もっとつっかかるかと思ったのですが……。写真論に興味のある方は是非。2009/10/21

ホンドテン

0
所有というか親の蔵書。写真を見ることが伊藤(05)の漫画を読む如くまどろっこしい過程であることを確認。要再読。2024/03/15

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