内容説明
彼らが本当に伝えたかったこと。民衆史から見た犠牲と慰霊。
目次
序章 兵の近代を問う―兵は何を受容したか
第1章 兵の交信・きずな―手紙と遺書
第2章 侵略の戦場―日中戦争の日記
第3章 修羅の戦場―太平洋の体験記
第4章 兵の墓標―死の祭祀と碑
終章 軍隊秩序の史的考察―命令服従体系の成立と日本社会
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
5
日本軍を兵士の視線で、社会との関わり合いを考察しようという本。手紙、日記、体験記などを元に、リアルタイムの兵士達が「軍隊」をどう考えていたかを探っていく。日記や手紙は検閲があるので、本音を書いているわけではないが、農民兵が故郷の田んぼの様子を気にかけている様子や、中国戦線では中国人に同情しつつも「抵抗する奴は殺されて当然」と感じる、様々な心理状態が伺える。良兵良民、戦陣訓、忠君愛国、捕虜などのテーマに沿って概観している最終章の「軍隊秩序の史的考察」が、一番興味深かった。2014/11/11
mimm
3
流石に世代間のギャップも出てきて、当時の時代の理解が必要となってきます。 知識として入れておくと、他の文献を読む時、理解を深める一助にはなるかも。 なぜ捕虜になることをそこまで嫌がったのか、とか。2013/11/14
となりびと
2
日清戦争、日露戦争、満州事変、そして、大東亜戦争における日本兵の記録やそのときの有り様をまとめられている。大局的であったり、指導者個人ではなく、一人の人間、それも兵隊ではなく、民衆からの兵活動についての本は珍しく思い、手に取る。 満州事変までは本土との手紙のやりとりから多くが見てとれるとこに対して大東亜戦争では専ら手記・日記・遺言書といった記録によることになっている点はその戦況も伺える。他国とは異なり、兵役という過程を経ずに兵として派兵されることを民衆が当然と受け入れるに至る環境の変遷はわかりやすかった。2018/08/05