岩波新書
江戸名物評判記案内

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  • サイズ 新書判/ページ数 228p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004203131
  • NDC分類 020.21
  • Cコード C0295

出版社内容情報

江戸時代の中頃,名物評判記という情報誌が次から次へと出版された.それはしかつめらしい学者先生から小説家,役者,遊女,町娘,さらに虫,魚,瓜にいたるまでありとあらゆるものを評判した.著者はこの第一級の風俗資料によって,当時の流行の最先端と人びとの旺盛な好奇心,活発な批評精神を明らかにし,江戸の面白さを縦横に描き出す.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ワッピー

35
根津のあたりの一箱古本市で邂逅。現代人の好きなランキングは、江戸時代から変わらずあったもののようで、評判になった遊女・役者からはじまり、学者、詩人、医者や戯作、江戸や京阪の名物にいたるまで、格付をしてその評を書いたものが広く読まれるというのは、文化爛熟の証でもある。筆名、匿名で書かれた各評判記は戯作者のみならず学者や好学家の手によるものもあって、もめ事にならない程度の辛辣さが腕の見せどころの由。江戸っ子の好きな初もの評判記は興味深い。かつを、さけ、酒、そば、若あゆ、若もちといった食品、 ⇒ 2023/07/31

N-Megu

2
役者・遊女以外にも多様な対象に関する評判記があることを知った。出版業界についての記述「新刊はそれほど出ない(年に同ジャンルで一二冊出たらかなり多い)」「本の批評はほぼない」という現代との違いや、固定した執筆者集団とその階層など、近代小説成立時点の色々と比べて見ると、インフラと教育制度によって業界が(あれでも)拡散している様が想像されて面白かった。80年代の本だと思うと、「爛熟した文化の中では著名な学者も一種の名物扱い」という説明が、きわめて味わい深い。2012/12/13

中村禎史

0
使っている言葉が難しく、読み辛い。昔教科書で習った江戸時代の時期区分の話がもう古くて、元禄と文化文政の二つだけではなく、その間に中期(享保から寛政まで、ほぼ18世紀全般)も加えて三つに分けて考えるのが定着してきたと言う話が面白かった(本書は約40年前に書かれているので、今は更に変わっているかも)。 著者も再三書いているように、色々な評判記をざっと紹介されるより、現物を読む方が面白いに違いない。挙げられたものの中では季節の「初物づくし」が、当時の季節感を感じることが出来て興味深かった。2022/10/07

パトリック

0
江戸の町人文化って侮れないものがある。数学なんてマニアたちが難問を出し合ってレべルは高かったし、出版も版元や著者が知恵を出し合って受ける企画を狙うさまは現在と変わらない。いろいろな分野で番付表をつくろうなんてのもそのころの知恵で、その細々を紹介・解説する本だ。2018/11/24

にゃん吉

0
評判記の対象が幅広く、学者や文人、さらには、与力見習が書いた京都町奉行所の与力の評判記まであるのに驚きました。ランキングを載せた情報誌的なものかと思いきや、戯作的な要素もあるようで、意外。化政期以降、人物を対象とする評判記は、揶揄、揚げ足取りを主とする「妙々奇談」モノが好まれたとのことで、このあたりは今も昔も変わらないようで。カジュアルな切り口や書き方をすると、もっと広くウケるテーマな気もしますが、堅実且つ丁寧な記述は、著者の学者としての真摯さであり、岩波新書黄版の面目躍如というところでしょうか。   

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