岩波文庫
ギッシング短篇集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 288p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003224755
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

『ヘンリ・ライクロフトの私記』で知られるギッシング(1857-1903)は,初期は長篇小説が主だったが,当時の出版状況や家庭事情などから次第に短篇が作品の中心となり,多くの優れた短篇をのこした.食費を削ってまで好きな本を買い漁る男を描く「クリストファーソン」など8篇を収録.作者の真価が発揮された短篇集.うち本邦初訳2篇.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りつこ

36
読んだあと黙って下を向きたくなってしまうような物語が多い。おとなしかったり不運だったり勇気がなかったりお金がなかったりして身動きのできない人たち。彼らのことをとても他人とは思えず、読んでいて苦しくなる。とはいえ、彼らに向ける作者の視線は意地の悪いものではなく、むしろ優しさや共感に満ちている。なぜギッシングを読んでみようと思ったのかと不思議だったのだが最後におさめられている「クリストファーソン」を「書物愛」で読んだからだった。次は長編を読んでみたい。2015/09/14

藤月はな(灯れ松明の火)

27
人生の不思議でほろ苦く、温かな縁や軌跡を描いた作品。結構、苦い話もありますが、後味は悪く、読みやすいです。また、『ルーとリズ』は産業革命によって女性や子供が長期重労働をしていた時代が伺える描写もあるので中々、興味深かったです。2013/11/26

風に吹かれて

17
『ヘンリ・ライクロフトの私記』の著者ギッシング(1857‐1903)がどんな小説を書いていたのかを知りたくて読んだ。 公立の無料小学校が制度化され卒業する庶民が増えると定期刊行物の出版が増え掲載する短編小説の需要が増えた。そういう状況の中で長編を書いていたギッシングは生活の必要もあって1890年代になって短編を多く手掛けるようになったのだそうだ(「解説」より。本書の「解説」は出版の世界の変化が詳しく書いてあり有意義だった)。 →2023/11/04

ROOM 237

12
19世紀末英国の揺さぶり紳士とお呼びしてよござんすね?読者冥利に尽きるサービス精神を発揮する物書きの鏡みたいな著者、ときに嘘や秘密裏計画がバレないかハラハラさせ、ときに楽しい計画まであと少しという所で雲行きが…と、いそいそ梯子外しに勤しむシニカル紳士。短編という僅かな時間内に怒りと憐れみ、喜びと虚無というような対極を何往復も描き揺さぶるのは、見えない読者とコミュニュケーションしようという気配が漂う。一方通行ではない読書って良いもんです、もちろんマイベストは本買い過ぎ男の「クリストファーソン」に決まり♡2023/08/25

セレーナ

8
南イタリア周遊記と同じように読みやすい短編集。チェーホフの6号病棟他の短編集のように明るく、暗い。それでいて日常生活のタフさを失わない。ハンプルビーは人生の巻き返しと素敵な伴侶を得た幸福を。治安判事と浮浪者はやった後悔より、しなかった後悔の大きさ。この気持ちの為に著者は南イタリア周遊を決行したのだと思った。詩人の旅行かばんは大人のお伽噺。ルーとリズがいちばん臨場感溢れるドラマだと思った。くすり指はアガサ・クリスティーの春にして君を離れを思った。人は自分の感じたいように、考えるのだ。対話をしても実はしてない2019/06/27

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