82図書館長 道元 徹心2020年度の「私のお薦めコンテスト」に応募いただいた皆さん、有り難うございました。今年度は3キャンパスから17人の応募がありました。選考委員会による厳正な審査の結果、大賞1編(文学部2回生)と優秀賞4編(文学部1回生・経済学部3回生・政策学部4回生・農学部2回生)を決定し、過日オンラインによる表彰式を行いました。いずれも図書館ホームページで紹介されていますのでご覧ください。受賞された方々、おめでとうございます。応募者が選んだ本は推理小説・古典文学・エッセイ・解説書・旅行案内など様々な分野にわたっていました。どの応募作品も文章に工夫がなされた力作ばかりで、「お薦め本」を主体的な捉え方で紹介しています。書店にならぶ本の帯に書かれるものとは一味違った新鮮さを覚えるものでした。読み手の琴線に触れるには、本の内容について客観的な視点からおさえることと、一人称として如何に受け止めた本か、この両面が必要でしょう。大賞に選ばれたのは東野圭吾著『祈りの幕が下りる時』を薦めた文学部2回生大谷瑞穂さんです。本の内容を自身の人生と重ねて語ることで、本の魅力が伝わってきます。結びの文章で「この作品は、人生に覚悟をもたらしてくれる。それが、あなたの人生なのだと、覚悟をもたらしてくれる。あなたは、どんな人生を歩んでいますか。その人生を歩んでいく覚悟はありますか。」と主体的に力強く語っています。また優秀賞に選ばれた農学部2回生小寺哲平さんは瀧本哲史著『僕は君たちに武器を配りたい』を挙げ、「『自分の将来が不安だ。』そんな悩みを持つのは今の日本社会では当然です。この社会を生き残るために、まずは著者から『武器』を受け取りましょう。」と意表を突く表現で締めくくっています。この他、入賞は惜しくも逃しましたが魅力的な応募作品ばかりでした。充分な時間がある大学生の今、この本をぜひ紹介したいと思えるような一冊に出会ってほしいと思います。そのような本を手にした時、次にどのようにしようかと思い巡らします。著者の趣旨を理解するため何度も読み返すこともあるでしょう。深く読み込むことで、自身を見つめ直し著者との出会いが生まれます。そして友人などに紹介することで読者同士の繋がりも出て、本の魅力は益々広がります。次回の「私のお薦め本コンテスト」に皆さんの応募をお待ちしています。館長講評第9回「私のお薦め本コンテスト」の審査を終えて
元のページ ../index.html#84