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74図書館長  道元 徹心2019年度の「私のお薦めコンテスト」に応募いただいた皆さん、有り難うございました。今年度は3キャンパスから16人の応募があり、選考委員会による厳正な審査の結果、大賞1編(法学部3回生)と優秀賞4編(文学部2回生2名・文学部1回生・経済学部2回生)を決定しました。いずれも図書館ホームページで紹介されています。受賞された方々、おめでとうございます。応募作品はそれぞれに良さがあり、評価は主に文章力・本の魅力を伝える力などの観点から10点満点で実施しました。応募は図書館内の本を読者が選び字数800字以上1200字以内で本の魅力を紹介する方式です。皆さんがどのようなきっかけで、その本と出遇ったか、館内の書架をゆっくり歩きながらのたまたまの出遇いであったのか、以前からその本の魅力を知っていて読んだのか、館内の掲示板やホームページで知ったかなど色々なケースがあるでしょう。実際に本を手に取り頁をめくり読み進めていくと、そこに一人一人感じる世界があります。時には行間が心を動かし人々を牽引することがあるかもしれません。本の魅力を知ったならそれを誰かに伝えたくなりますね。1冊の本が人と人を繋いでいきます。今回、大賞になった作品は本の内容や面白さはもちろん伝わってきますが、それに加え文章を「そしゃく」(物事や言葉の意味をよく整理して理解すること)して読み手に伝えようとする点で工夫がなされていました。『想像ラジオ』という小説で東日本大震災を題材に生者と死者との新たな関係を描く設定です。読者の想像力を優しく受け止めるような優しさがこの本に備わっていると評しています。大賞となった応募者自身が自らの体験を「私もこの本を読んだ時、小学校の時にひいおばあちゃんが亡くなって、しばらく彼女に宛てた手紙を紙飛行機にして人が入れない隙間に飛ばしていたことを思いだしました。成長して無意味なことをしていたなと思っていましたが、この本を読むと、それは私がひいおばあちゃんが亡くなった事と向き合うために必要な作業で、対話だったと思えました。」と語っている点に注目しました。文章表現などを通じてご本人の個性までもが感じ取れる作品となっており、この本を手にとってみたいと審査員も感じました。本によって新しい知識が得られる、心豊かになる、人と人とを繋いでいく、本を通しての魅力は色々とあります。次回の「私のお薦め本コンテスト」に皆さんの応募をお待ちしています。館長講評第8回「私のお薦め本コンテスト」の審査を終えて

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