山川徹 著、小学館、2018.69西川 輝(理工学部 電子情報学科 1年)皆さんは、カルピスを飲んだことがありますか?もちろん、ほとんどの人が「飲んだことがある」と答えると思いますよね。では、カルピスを発明した人は誰ですかと尋ねられると、おそらくほとんどの人が答えられないと思います。なぜなら、現在のカルピスのパッケージには発売した年は書いてあっても、発明した人については全く書いていないからです。しかし、これから紹介する『カルピスをつくった男 三島海雲』を読むと、カルピスを作った人が誰かがわかります。それは、三島海雲です。この本では、三島海雲の生涯とともに、なぜカルピスはモンゴルから日本にやって来て、どのように発展していったかが、フリーライターの山川徹さんによって書かれています。私は、この本を出版社のホームページや学長のTwitterで紹介されましたが、この本を読むまでは日ごろお世話になっているカルピスの発明者について何も知りませんでした。しかし、この本を読んだことで、三島海雲がどのようにして海外に出向き、カルピスの原点となる乳製品に出会い、カルピスはどのように生まれ、どのようにして国民食の一つになっていくことができたのかを知ることができました。この本を読んで特に印象に残っているのは、第二次世界大戦が始まり、カルピスを作るのに必要な原材料がすべて軍の統制下に置かれてしまい、カルピスが思うように作れなくなっても、必死に訴え続けた結果、日本軍に認められ、ビタミンが加えられた部分です。皆さんは今飲んでいるカルピスが100年前から当たり前にあると思っているかもしれませんが、戦時中は今とは違い、物資や資源が軍の統制下に置かれた結果、当時の人々は思うようにカルピスはもちろん、食料を得ることができませんでした。この本では、三島が、どのようにして軍にカルピスの必要性を訴えたのかがわかります。少しだけ本の内容を紹介しましたが、今度カルピスを飲むときは、三島海雲や昔のカルピスに思いをはせながら飲むのはいかがでしょうか。そして、この文章を読んで気になった人は、ぜひ龍谷大学図書館でこの本を読んでみてください。優秀賞『カルピスをつくった男 三島海雲』
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