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斎藤孝 著、PHP研究所、2011.28趙 夢盈(経営学部 経営学科 1年)「私は外国人です。能ってどういうものか紹介してもらえますか?」日本に来て二年目、私はよく日本の方々にその質問したが、もらった返事は「ごめん、よく知らないんで・・・」とか、「そんな堅苦しいもの、自分もわからないよ」というものばかりだった。「自分の国の伝統文化についてもう少し誇りを持って少し勉強すれば?」日本人の英語学習への情熱を知るたびに私はそう思う。なぜなら、英語で外国人と話すときには、ハリウッドの映画より、「日本の伝統文化」について質問される可能性が高いと思うからだ。偶然、図書館でこの本と出会った。表紙を見て、「面白い?」「読んでみよう!」と思った。結果からいうと、面白かった!「歌舞伎」も、「茶の湯」も。この本の中に満ち溢れている日本の独特の美に魅了された。特に「能」の「幽玄」に表される「不動」の武士精神に心の震えを感じた。本物を見に行きたい。夜の神社の四角い舞台で磐石のように立って歌う役者を見に行きたい。能面をかぶって表情はないが、漂っている歴史の微香の中で神霊のように強く存在しているだろう。そして、歌っている歌も、きっとしずくのように心に飛び込んでくるだろう。日常に触れない物事の新鮮さと伝統の厚さはこの小さい文庫本を通じ、私を圧倒した。そして、「俳句」も魅力的な伝統芸能である。私は文学が好きで、日本に来る前から、よく俳句を読んでいた。はじめにほれたのは、あの有名な『古池』の句だった。わずか十七音の短い形式だが、広くて静かな異空間を作り上げ、読者に「夏の涼しさ」を届けたのは素晴らしいことだと思ったから、自分も作ってみたかった。しかし、精一杯努力したのに、「字余り」の駄作しかできなかった。でも、日本人の友達に作ってもらうと、軽がると面白い句ができた。「参ったな、文化の遺伝子には勝てない・・・」。とてもうらやましかった。前期のゼミで、「愛国心」について、クラスで少し討論を行った。私は「自分の国の歴史と伝統に尊敬の念を持って理解し、それを自分のアイデンティティーの一部として、大事にすること」と主張した。特に、グローバル化が進んでいる現在、外国の人と平等で、よいコミュニケーションをとろうと思うなら、そのような「愛国心」がなければならないだろう。これを読めば、日本の「伝統」の面白さがわかるはず。「民族的な自尊心」への理解も深めるはず。一度、読んでみない?優秀賞『こんなに面白かった!「ニッポンの伝統芸能」』

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