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ですから、入賞作を通じて、対象図書を読んだことのない人は「読んでみようかな」と思ってくれるにちがいありません。読んだことのある人も、「へえ、こんな読み方もできるんだ」と改めて興味を抱いたり、「自分と同じ感動を味わっている人もいたんだ」と関心を掻き立てられたりして、もう一度読みたい、あるいは入賞作を書いた人と語り合ってみたいと思うはずです。対象図書は、いずれも龍谷大学図書館に所蔵されていますので、ぜひ手にとって読んでみてください。そして、面白かったら、今度はあなたが他の人に薦めてみてください。「ひとり灯のもとに文(ふみ)をひろげて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる」(『徒然草』第13段)と言ったのは兼好法師ですが、薦める/薦められるというコミュニケーションを通じて他者と出会い、語らうというのもまた楽しいことではないでしょうか。コンテストの表彰式前日(2013年12月19日)には、同じ会場(深草図書館グループ学習エリア)で龍谷大学図書館初の「ビブリオバトル」が開催されました。ビブリオバトルとは、「人を通して本を知る、本を通して人を知る」をキャッチコピーに、バトラーがそれぞれの「お薦め本」を紹介し、もっとも読みたくなった本(チャンプ本)を投票で決めるという“ゲーム”です(*2)。なかなかの盛り上がりを見せた「ビブリオバトル」とこの「お薦め本コンテスト」とが相乗的に効果を発揮しながら、本を読む輪、そして人の輪がどんどんと広がっていく—そんな風景をいま、私は夢見ています。もちろん、その風景の中心には図書館がある……*1 平野啓一郎『本の読み方—スロー・リーディングの実践』(PHP新書、2006年)*2 谷口忠大『ビブリオバトル—本を知り人を知る書評ゲーム』(文春新書、2013年)23

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