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斎藤兆史 著、中央公論新社、2000.11井上 彩音(文学部 英語英米文学科 2年)本書はタイトルにあるように、日本にいながらにして英語の習得に多大なエネルギーを注ぎ、英米人に負けない程度の英語力を誇った偉人を紹介している。私はいま英語を専攻していて、授業を通して本書を読み、とても感銘を受けたので推薦することを決めた。本書の中で筆者が英語達人として選んだ10人は、明治期からの文化人として有名な新渡戸稲造、岡倉天心を始め、外交官・政治家として活躍した幣原喜重郎といったそれぞれの分野で日本の架け橋となった人物の名前が並ぶ。それぞれに面白いエピソードが並んでいるのだが、一番印象に残ったのは野口英世の逸話である。私は今まで野口英世について、アフリカの人々を救うために赴いた現地で不幸にも黄熱病に感染し、執念とも言える出世欲に駆り立てられた人物という知識しかなかった。しかし、彼は卓越した語学的才能の持ち主であり、睡眠時間を惜しんでまで勉強し、独学で英語を習得したことを知って驚いた。しかも、英語以外にドイツ語、フランス語、中国語、ロシア語も学んでいる。卓越した語学才能で何ヶ国語も操ることのできる彼は私の憧れである。また、岡倉天心の達人らしいエピソードも見どころだ。偏見に満ちた侮辱的なセリフを投げかけられても、ひとつうまい切り返しでネイテイブの人をギャフンと言わせている姿はまさに、母国語のように英語を操っている彼こそ英語達人であるのだ。これらの達人に共通する学習法は、いずれも途方も無い数の読書をこなす多読家で英作文に徹したことである。特に、斉藤は3年間で英書や英語百科事典を読みつくし、図書館にある英語の本も全部読んだと記述されている。すなわち、彼らの英語力は徹底した読み書きの反復練習によって養われたものだった。私も、英語の習得について文法や英文を読んで語学力を基礎から積み上げることが重要なことは言うまでもないと考える。達人たちの英語習得方法からみると、単に半年の留学経験や英会話を学ぶことだけで英語ができるとは言い切れない。そして、この本を読んで英語を習得するのに近道はないということを思い知った。達人たちが天才であったことは言うまでもないが、彼らはみな苦労しながら自分なりの勉強法を編み出し、人並みはずれた努力をして最高レベルの英語を身につけた人たちである。また、大量の読書が語学習得で極めて重要であることが確かめられた。現在、英語を学ぶ環境は達人たちよりはるかに優れているといえる。彼らのすさまじい勉強法は簡単に真似することはできないが、私自身、英語を学ぶことや読書をすることが好きで、これらのことができる環境にいるので、わずかな英語に接するチャンスをものにしてきた達人たちを見習って、一歩でも近づけるように英語力を伸ばしていきたいと思った。英語に限らず勉強に対するモチベーションがすごく高まる一冊だ。優秀賞『英語達人列伝:あっぱれ、日本人の英語』

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